河村たかし名古屋市長の「南京大虐殺否定」発言が名古屋・南京両市の友好関係に深刻な影響をおよぼしています。否定発言の根本に、日本の侵略戦争を正当化する考え方があります。そうしたなか、愛知で日本の戦争犯罪を掘り起こす活動が行われています。
調査・追悼
日中友好協会愛知県連合会などは、戦時中、大府にあった三菱重工の飛行場での中国人強制労働の調査を行っています。2007年から、跡地調査、中国の生存者や遺族からの聞き取り、09年から強制労働の中で死亡した中国人の遺骨が一時安置された同市の玄猷寺(げんにゅうじ)で追悼式典を開いています。
国際法違反
中国人の強制連行・強制労働は国際法に反する戦争犯罪です。中国に攻め込んだ日本軍は「労工狩り」と称して、中国軍の捕虜のほか、一般市民、農民を拉致しました。日本に連行し、企業と警察が一体となったきびしい監視のもとで労働させました。
この強制連行・強制労働は労働力確保の国策としておこなわれ、アジア・太平洋戦争が日本の侵略戦争であったことを示す歴史の事実です。
侵略兵器生産
大府飛行場は、三菱重工名古屋航空機製作所が陸軍の最新鋭爆撃機「飛龍」を組み立てるために1941年に建設したもの。その拡張工事に、地崎組(現在の岩田地崎建設=本社・札幌市)が北海道で使っていた中国人485人が回されました。大府では、粗末な食事、過酷な労働で5人の死者が出ました。
謝罪・補償なし
北海道を中心に鉱業、建設、港湾荷役などを手がけていた地崎組は早い時期から日本政府に中国人の使役を働きかけました。日本政府と地崎組、関連企業は遺族と生存者に謝罪も補償も一切行っていません。
地元の責務
4日に名古屋市で開かれた報告会で、調査を行った南守夫愛知教育大学教授は「歴史の空白を埋め、追悼行事や記念事業をおこなうことは地元の責務」と述べました。