愛知民報

【12.01.22】名古屋の保育 河村構造改革で 営利企業参入の方針 

全国最多の待機児童 市場まかせ 公立保育園の増設こそ

 名古屋市は12日の市議会子ども青少年委員会で、保育所運営への株式会社など営利企業参入を解禁する方針を示しました。4月に保育所認可要綱を改正するとしています。

 同市の待機児童は、昨年10月1日現在で1909人と全国最多。その最大の問題は、市立保育園を29年間つくらず、施設の老朽化などを理由に市立保育園の大幅縮小と民間移管をすすめる行政運営にあります。

 いま緊急に必要なのは、待機児童の解消のために、公立と民間の社会福祉法人の保育園を増やすことです。

 民間の保育所設置は原則社会福祉法人に限って認められてきましたが、国は2000年3月に制限を撤廃。全国19の政令指定都市中12市ですでに営利企業に認可されています。

 河村市長のねらいは、民間企業が自由に参入・撤退できる「保育の市場化」で公的保育を解体し、行政責任を縮小する「構造改革」です。

 これは民主党政権が導入をすすめる「子ども・子育て新システム」を先取りするもの。同システムは、市町村の保育実施責任を廃止し、保育を保護者と施設・事業者との直接契約に変えようとしています。

 民主党政権は児童福祉法の公的保育体制を破壊して社会福祉全体を市場化し、それと一体で「社会保障と税の一体改悪」を強行する構えです。

 河村市長と民主党政権がすすめる、低所得者を福祉から閉め出す攻撃は許せません。

保育士 保護者 「撤回」せまる

 
 保育士の労組や保護者などでつくる「保育をよくするネットワークなごや」は11日、保育への営利企業参入に反対し、撤回を求める「緊急アピール」を発表。河村市長あてに提出しました。

 アピールは、営利企業は、子どもの健やかな成長・発達を保障し子育て中の親を支える保育にはなじまないと指摘。「保育を商品にしてはいけない」と述べています。

 スピード感を持った待機児童解消のために、公立保育所の廃止・民営化の凍結、公立保育所の空き部屋の活用や広い園庭のある園に保育室の増室などを今すぐやるべきと主張しています。

 同ネットワークは12日早朝から、市役所周辺で60人以上が営利企業参入反対の緊急アピール行動、議会各会派への要請、教育子ども委員会の傍聴をおこないました。