愛知民報

【11.12.18】設楽ダム中止を 地盤深層崩壊の危険 

 国土交通省が愛知県北設楽郡設楽町の豊川上流に建設を計画している設楽ダムについて民間研究機関の調査で地崩れなど災害発生の危険があることが分かりました。同ダムは自然破壊や必要性のなさが指摘され、民主党政権が「再検証」中で、本体工事には至っていません。建設中止を訴え続けている、もとむら伸子さん(日本共産党参院愛知選挙区予定候補)に最近の状況を聞きました。

もとむら伸子さん(参院愛知選挙区予定候補者)に聞く

 
 ―設楽ダム建設予定地の地盤問題で調査報告が出ました。

 「設楽ダム建設の中止を求める会」の皆さんが国土問題研究会に依頼し、建設予定地周辺の地質調査がおこなわれました。

 「ダムに貯水すると設楽町田口地区の地下水位を押し上げ、液状化や地下水汚染、地滑り、地下浸食を引き起こす可能性がある」

 「松戸地区では、ダムの掘削に伴って大規模な地すべりや斜面崩壊に伴う地盤の沈下、地下水位の低下、沢水の減少などが発生する危険が考えられる」

 こういう調査結果です。

 この研究会は、研究者や技術者、弁護士、などが参加し、住民のための安全で住み良い国土づくりをめざしています。

 「中止を求める会」は、設楽町や豊橋市などで「設楽ダム建設予定地の深層崩壊・水漏れを考える」調査結果報告会を開いています。

 設楽ダム建設予定地は、静岡県の佐久間ダムをつくった電源開発がダムをつくろうとして、地盤の弱さから断念したところです。

 報告会では、ダム建設で設楽町民が危険にさらされるのではないか、災害を誘発するのではないかなどの意見が出ました。

 ―民主党政権は、設楽ダム建設計画の再検証をおこなっていますが。

 再検証は、本来は国交省と関係のない第三者が科学的に客観的に検証するべきです。ところが同省中部地方整備局が主体で、関係自治体のダム賛成派ばかりで議論しています。過大な水需要推計を見直さない?八百長?の検証です。

 必要のない八ツ場(やんば)ダムや設楽ダムより、大震災被災者を支援するべきです。復興財源をつくるためにも、ムダな事業で国家財政をさらに悪化させることは許されません。愛知の宝である設楽の自然や豊川河口部の六条潟を守るためにも設楽ダムを中止させたいと思っています。

 ―設楽ダムはやめるべきですね。

 私はこれまで、日本共産党の田中邦利設楽町議や東三河地方議員団と一緒に、何度も国土交通大臣に設楽ダム中止を要求しました。市田忠義書記局長も中止を求める国会質問をしています。

 東海・東南海・南海大地震はいつ起きてもおかしくないといわれています。「ムダな事業をやめて地震対策を」という皆さんの声を国政に反映させるために全力でがんばりたいと思っています。

自然破壊の“無目的ダム”

 設楽ダムの建設目的とされる水道用水・農業用水の確保、洪水調節、河川環境の維持は、いずれも根拠がありません。

 ?東三河地域の水供給体制は2002年3月に完成した豊川総合用水事業で確保されました。現在はおよそ1億立方メートルを超す水が余っています。

 ?洪水防止には、河道改修や堤防強化、遊水地、森林整備などが有効です。上流部のダムは平野部の浸水防止に役立ちません。

 ?ダム建設は、自然環境、生態系に大きな影響をあたえます。ダム建設で水の流れを遮断すれば、河川環境を壊します。三河湾の水質は悪化し漁業が大きな打撃を受けます。
 
 ?設楽ダムは建設費2070億円と周辺対策費約1000億円を使い、次世代に巨額の借金を残します。

 ダムを推進する天下りや政治献金など政財官癒着の改革が課題になっています。