愛知民報

【11.11.06】全国に誇る敬老パス守ろう 「事業仕分け」は利用者不在

名古屋市 構造改革に怒り

 
 河村たかし名古屋市長が先月21~23日に行った市の事業の外部評価(事業仕分け)で、市民の注目を集めた日本一の敬老パス(市バス・地下鉄敬老無料乗車証)が「見直し」判定となり、市民から怒りの声がわき起こっています。

 市が外部評価に出した資料には、見直しの内容として負担金値上げや支給年齢引き上げが明記されています。

 市は、外部評価の前に行政内部で行った評価をホームページで公表し市民意見を募集しました。日本共産党が敬老パス見直しの動きを知らせるニュースを配布するなどで、急速に市民の不安が広がり、短期間に2000人以上の市民から意見が寄せられました。そのほとんどが「敬老パス守れ」の意見。しかし市は、この意見を公表しないまま、仕分けを強行しました。

 仕分けでは他に、女性会館や野外学習センターなど6事業が「廃止」、スクールランチや生涯学習センター、市営住宅の駐車場料金など20事業が「見直し」と判定されました。

 一方で、500億円かかるという名古屋城の木造化など不要不急な事業、財界が求める高速道路などの大型開発、慣例的な市議海外視察は仕分けの対象にされませんでした。

 河村市長は、「廃止」「見直し」判定の事業を来年度の予算編成に反映させる意向です。11月議会で大企業・金持ち優遇の減税恒久化条例案が否決されれば、住民投票をほのめかしています。

 河村市長の暴走を許さず、「住民福祉増進の機関」としての名古屋市政をすすめるために、11月議会から来年の予算議会まで、たたかいの正念場となります。

要求実現へ共同 くらし・福祉後退させない

 河村たかし名古屋市長が行った「事業仕分け」の会場前では連日、市民団体や労働組合が敬老パスなど福祉・市民サービスの切り捨てに反対する宣伝を繰り広げました。

 全日本年金者組合愛知県本部の吉田昂弘(たかひろ)委員長は「敬老パスは、高齢者の健康増進だけでなく街の活性化や公共交通機関の維持にも役立っており、これを議論もせずに見直すのは許せない。65歳以上への交付を守った6年前の運動以上にたたかいを強める」と意気込みます。

 同組合千種支部は、敬老パス改悪反対の独自署名に取り組んでおり、「市長にだまされた」「減税日本への期待が吹き飛んだ」など、大きな怒りが寄せられています。

 年間25万人が利用する女性会館の「廃止」判定について、新日本婦人の会愛知県本部の安藤満寿江会長は「会館利用率は8割近くもあり、『判定』は利用者の声とズレている。この会館は多彩な社会教育講座や女性学習グループへの支援も行い、ジェンダー(男女の性の役割)平等の役割を果たしている。多くの女性団体と共同し、会館を守りたい」と話しました。

 革新市政の会は先月の世話人総会で「市民要求を実現する取り組みを各団体・地域で強化する」とし、敬老パス改悪を許さないことをはじめ、くらしと福祉を守る各団体の取り組みを応援しています。

 日本共産党は「?福祉壊し?を許さないたたかいを強めよう」と呼びかけ、?ニュースの全戸配布や宣伝・署名、?「敬老パスを守れ」署名の推進、?市政学習会の開催、?老人会、女性グループ、保育関係団体、PTAなどに「事業仕分け」中止と要求実現の共同の申し入れ、?女性会館の廃止を許さない運動をすすめるとしています。