中部国際空港(常滑市)をめぐる開発事業の浪費と環境破壊に反対する「中部国際空港・関連開発を考えるネットワーク」は9月4日、名古屋市内で第7回総会を開きました。同ネット運営委員の林信敏氏は、今年2月の愛知県知事選挙で大型インフラ(基盤)整備への集中投資を最大公約とする大村秀章知事が誕生したことや民主党政権の軍拡路線をふまえ、実際の需要を無視した中部国際空港2本目滑走路、西知多道路、中部臨空都市の建設、海外戦争への参加につながる県営名古屋空港の軍事基地化をやめさせる「4つのストップ」を提起しました。愛知の空港問題を林さんに聞きました。
――中部空港の利用は減少している。
開港した2005年度以降、旅客数、貨物取扱量とも減りつづけています。2008年度の旅客数は1080万人。旧名古屋空港の2000年度1089万人を割りました。中部空港会社は赤字転落のピンチにあります。
――中部空港の位置は高くない。
日本の空港の中で、中部の旅客数は8番目です。国内線旅客は大幅に減り、「国際空港」といいながら、国際旅客も減少傾向です。
愛知は製造品出荷額全国一ですが、中部空港の貨物取扱量は7番目にとどまっています。
国際情報通信の発達や生産拠点の海外移転、現地調達体制の整備は中部空港の利用を減少させています。
――大村知事は、世界からヒト・モノ・カネを愛知に呼び込むインフラ整備に中部国際空港の2本目滑走路をあげているが。
滑走路を2本にすれば中部空港の利用が増えるというのは見当ちがいです。1本だから利用が減っているのではありません。もともと中部の航空需要を過大に見ていたのです。
「世界からヒト・モノ・カネを呼び込む」とは、実は「巨大公共事業にヒト・モノ・カネを注ぎ込む」ことです。
グローバル化を口実にした「土建国家」の再現です。
【林信敏】日本共産党元愛知県議。在職中、県議会中部国際空港調査特別委員。愛知の空港をめぐる民間・軍事利用、環境、地域開発などの問題を追跡してきた。