愛知民報

【11.10.02】高卒まで医療費無料 東郷町 制限なしは県内初

住民と共産党の運動実る

 東郷町議会は9月22日、高校卒業までの医療費を入・通院とも無料にする「子ども医療費支給条例」の一部改正案を全会一致で可決しました。所得制限や一部負担なしの高卒までの無料化は、県内の自治体ではじめてです。

 川瀬雅喜町長は、住民や議会から無料化拡大を求める声が強まるなか、9月議会に同条例案を提案。「他自治体に先がけたい」と表明しました。

 住民が子ども医療費無料化拡大の運動をすすめ、日本共産党町議団が町議会でねばり強く論戦してきた成果が実りました。これまで同町は、入院費無料は中学卒業まで、通院費無料は小学校卒業まででした。

 昨年8月の町長選挙では日本共産党町議団も支持し、「中学卒業まで医療費無料」をかかげた新人が川瀬氏に21票差に肉薄。その直後の議会では医療費無料化拡大を求める請願に、共産党だけでなく4割の議員が賛成する大きな変化が生まれました。最近では11人の保守系議員が町長に同様の申し入れをしました。

 条例案の討論で、日本共産党の門原武志議員は「どの子も健やかに育ってほしいという町民の願いを実現する提案だ。さらに町民が安心できる町をつくろう」と訴えました。

 県内自治体の子ども医療費無料化は、当社調べでは10月1日現在、中学卒業までの入・通院無料は54自治体中37となっており、今後6自治体で実施(残り11自治体)します。

 最近では、無料化の対象年齢を18歳まで広げる動きが出ています。

 犬山市は昨年10月から、通院費は小学4年生から高校卒業まで自己負担1割、入院費は中学卒業まで無料で高校生1割負担の助成をしています。

 津島市は6月議会で、12月から高校卒業までの医療費無料化が決まりました。住民税の所得割非課税世帯(夫婦と子ども2人のモデル家庭で年収270万円ほど)が対象という所得制限付きです。日本共産党は「県制度への上乗せは長年の運動、市民の声が市政を動かしたもの」と評価して賛成しつつ、所得制限の撤廃を求めています。

 安城市では、市長が3月議会で「高校卒業まで入・通院とも医療費を無料化したい」と表明。来年1月実施をめざしましたが、東日本大震災の影響で税収状況が見通せないために、実施時期を検討しています。

中学校失業までの通院医療費無料化未実施の自治体







(2011年10月1日現在、当社調べ。57自治体中17自治体で未実施)
豊橋市 小学校卒業
瀬戸市 小学校3年生(2012年1月から中学校卒業)
半田市 小学校卒業
津島市 就学前(2011年12月から高校卒業=所得制限あり)
蒲郡市 小学校卒業
常滑市 小学校3年生
江南市 小学校3年生
稲沢市 小学校3年生
東海市 小学校卒業(2011年12月から中学校卒業)
知多市 小学校卒業(2012年4月から中学校卒業予定)
愛西市 小学校卒業
あま市 小学校卒業
東郷町 小学校卒業(2012年1月から高校卒業)
長久手町 小学校卒業(2011年11月1日から中学校卒業)
扶桑町 小学校卒業
大治町 小学校卒業(2012年4月から中学校卒業)
蟹江町 小学校卒業



全県に広げていく 愛知県社会保障推進協議会 加藤瑠美子事務局長

 
 東郷町が所得制限なしで高卒まで医療費を無料化するのは画期的なことです。?子どもの貧困?は社会問題であり、全県的な目標として高校生の医療費無料を広げたい。

 同時に、県にも制度改善を迫って高齢者の医療・介護の負担を軽減し、誰もが安心して暮らせる社会にしたい。

 25日から自治体キャラバンで全市町村を訪問し、社会保障施策を大きく前進させるために大いに力を発揮していく決意です。

大村県政 弱者支援の福祉医療 市町村まかせ

 市町村の子ども医療費無料制度に対する県の助成制度は、入院は中学校卒業まで、通院は義務教育就学前までの事業費の2分の1を県が負担するしくみ。

 大村秀章知事は「行革」で福祉や住民サービスを切り捨てる一方、財界が要望する高速道路や中部国際空港2本目滑走路、名古屋駅周辺の大開発などに集中投資しようとしています。

 自治体の役割は「住民福祉の増進」であるはず。大村県政の姿勢が、大本から問われています。