愛知民報

【11.08.28】三菱電機の派遣切り裁判 11月2日に判決 「私たち物じゃない、人間です」

法的責任を果たせ

 三菱電機に派遣切りされた3人の労働者が、同社と3つの派遣会社を相手取り、三菱電機社員としての地位確認と損害賠償を求めている裁判で、11月2日に名古屋地方裁判所で判決が言い渡されます。
 

 原告は、就業期間6年9カ月の男性(45)、同5年2カ月の女性(40)、同8カ月の男性(35)。 3人は、同社名古屋製作所(名古屋市東区)で派遣労働者として働いてきましたが、2008年12月、契約期間途中で解雇を通告されました。

 各派遣会社は、三菱電機の派遣契約解除によって労働者を解雇しており、解雇の決定権限は三菱電機にありました。しかし同社が団体交渉の求めに誠意ある対応を示さないことから、09年3月に提訴に踏み切りました。

 3人は名古屋北部青年ユニオン(全労連・全国一般労働組合所属)に加入してたたかっています。

直接雇用の義務はたさず

 2年におよぶ裁判で、三菱電機の違法行為が、次々と明らかになりました。

 同社は、製造業への派遣が禁止されていた04年以前から、原告らを「偽装請負」という形で働かせていました。45歳の原告は当初、請負業務に従事する形を取っていましたが、実態は三菱電機の正社員の指揮の下に仕事をする派遣労働でした。

 男性は契約更新を36回繰り返し、6年半も派遣社員として働きました。法律は派遣社員を3年をこえて雇用することを禁じており、労働者への直接雇用の申し出が義務付けられています。しかし同社はその義務を果たしませんでした。

 資格が必要な高電圧を扱う耐圧試験を、無資格の派遣社員にやらせていたことも問題になりました。正社員にも無資格でやらせていたことも明らかになりました。

労働者使い捨て 巨大な利益

 裁判が結審した7月4日、女性原告が最後の意見陳述にたちました。解雇されて収入がなくなり、親子心中も考えた苦しさを振り返り「大企業の違法性を正さなければ、この先、たくさんの犠牲者を出してしまいます。私たちは物ではない、人間なんです」と訴えました。

 原告代理人の加藤悠史弁護士は、「三菱電機は請負労働者・派遣労働者を違法に利用し、巨大な利益をあげてきた。これらの違法行為について、何らの法的責任もとっていない」と主張しました。

公正判決を

 裁判の支援者などでつくる「三菱電機派遣切り裁判勝たせる会」は、裁判の日ごとに会社門前での早朝宣伝、同社株主への働きかけなどに取り組んできました。

 また判決日にむけ、裁判所に公正判決を、三菱電機に社会的責任を果たすよう求める請はがきに取り組んでいます。【要請先】?名古屋地方裁判所民事第1部、田近年則裁判長(名古屋市中区三の丸1の4の1 ?三菱電機株式会社、山西健一郎社長(東京都千代田区丸の内2の7の3 東京ビル)