県民 名古屋市民を犠牲に
私は7月11日、6月議会で、中京都構想を推進する「中京独立戦略本部」をたちあげる予算が盛り込まれた補正予算に反対する討論を行いました。
今年2月の愛知県知事選・名古屋市長選で、大村秀章、河村たかし両氏は共同マニフェストで「世界と闘える愛知・名古屋」を掲げました。中京都構想のキーワードです。
大村知事のねらいは「大都市を中心とする広域エリアが国際競争に打ち勝つようなグローバル企業を育成・誘致」することです。
名古屋市はどうか。「大企業を誘致して国際競争力を強化することなのか」という私の質問に、市側は「そういうことです」と答えました。
愛知県が6月に提出した要望書で国に求めているのは、リニア中央新幹線の早期整備、名古屋港の機能拡充、中部国際空港の2本目滑走路の早期整備といった巨大インフラ整備です。従来からの大型開発事業を新たな装いで継続強化しようというものです。
中京都構想は道州制の先取りです。大村・河村共同マニフェストは「道州制の実現に向けて、国の機関、権限の受け皿となる『中部広域連合』の設立」を掲げています。
河村市長は3月議会で、「呼び名が道州制なのか、中京都なのか、わかりにくいということで中京都になった」と答えています。
中京都構想は、道州制を求める中部財界の意向に沿っています。中部経済連合会は?中部州?の姿を提言しています。中身は産業集積、インフラ整備で、中京都構想と何ら変わりありません。
大村・河村共同マニフェストは、「重複行政の排除」「減税財源の確保」をうたっています。大型開発を推進し、他方で減税財源を作るというのは、県民・市民を犠牲にすることにほかなりません。
大村マニフェストには、「県立大学と市立大学の統合」「中京都内で水道事業を統合」と書かれています。住民サービス切り捨ての「行革」が中京都の本質です。住民生活にメリットはありません。
河村市長は、「中京独立戦略本部」を「愛知・名古屋株式会社の取締役会」と位置受けています。大村、河村両氏を本部長に、10人の部員のうち5人はトヨタ自動車、JR東海といった財界人です。直接、財界の意向を聞いて、トップダウンで行政の方向を決める場にしようとしています。
自民、民主、公明各党の議員では中京都構想を批判できません。彼らも、大企業誘致のためのインフラ整備促進、道州制導入の立場だからです。
共産党議員がいない県議会には、残念ながら正面から批判する勢力はありません。大型開発の無駄づかいと住民生活犠牲を強行させないためにも、日本共産党名古屋市議団の役割が重要です。