愛知民報

【11.08.14】侵略美化の教科書 名古屋市教育委員会 採択せず 民主団体や日本共産党の運動が実る

 名古屋市教育委員会は5日の臨時会で、来年度から4年間市立中学校で使う歴史・公民教科書に、日本の侵略戦争正当化・美化や天皇中心の歴史観が問題になっている自由社版と育鵬社版を採択しないことを決めました。

 3月末、文部科学省は、教科書検定で、戦前の「教育勅語復活」と批判される改定教育基本法にのっとり、自由社と育鵬社の教科書を合格させました。

 各地の教育委員会が教科書を決める7、8月に向け、民主団体は両社の教科書を採択しないよう求め、他方、右派勢力は採択を迫る運動を展開しました。

 名古屋市では、日本共産党市議団が7月11日に両社の教科書を「歴史の真実を叙述せず、侵略戦争を賛美している」と批判する見解を発表。

 翌12日には、自民党市議が代表の「歴史教科書を考える名古屋市会議員の会」が、「従軍慰安婦」や南京大虐殺を否定する河村たかし市長を招き、事実上、両社の教科書を宣伝する討論会をおこないました。自由社版の執筆者は国家の役割を強調し、「マルクス思想は国家否定」と非難しました。

 侵略戦争賛美の教科書採択に反対している新日本婦人の会愛知県本部の朝日勝子・子どもと教育部長は「展示も見て意見を出した。?南京大虐殺はなかった?という河村市長のもとで、偏った教科書が採択されずうれしい」と語っています。