愛知民報

【11.08.07】シリーズ 発言 民主党政権の社会保障改悪?  社会保障と税の一体改革 愛知県社会保障推進協議会・事務局長 加藤瑠美子さん 

医療・介護・年金など 給付制限と負担増

 
 政府・与党は6月30日、震災復興を口実に社会保障を削減する一方で、消費税を「2010年代半ばまでに10%まで引き上げる」と、増税時期に幅を持たせた「社会保障と税の一体改革案」を決定しました。

 異例の閣議報告となった「社会保障と税の一体改革成案」は、消費税増税と法人税引き下げを柱にして、社会保障の「重点化・効率化」を強調し、医療・介護や年金など各分野で給付制限と負担増を盛り込んでいます。

 高齢者世帯が1000万人を超え世帯総数の21%。その半数は独居老人という実態のなかで、医療や介護の費用を減らすために、入院日数の短縮やいまでも3年待ちとなっている特別養護老人ホームの入所も「重度者に特化」し在宅へ。

 病院を早期に退院し、施設にも入れない高齢者は、「地域包括ケアシステム」が受け皿となり、食事や家事援助、医療・介護まで提供する「サービス付き高齢者住宅」を新たに増やすとしています。今でも費用が安い特別養護老人ホームへの入所を待ち、「年金で入れる施設」を望んでいる高齢者には、費用負担が大変でとても利用できる施設ではありません。

 成案では「70歳から74歳の高齢者医療の1割から2割に引き上げる」自己負担増の文言は消えましたが、「高齢者の自己負担の見直し」をする方向が残されています。

 また、「高額療養費制度の拡充」や「低年金者への加算」など、国民の要求を一定反映した施策もありますが、初診・再診時の定額負担と、再診のつど100円の追加徴収や在院日数の削減、介護保険での要介護認定者の削減など医療・介護や年金の支給開始年齢の引き上げ、生活保護の給付基準の引き下げなど、各分野での給付制限と負担増などの切り捨てと抱きあわせです。

 その上で、社会保障を自立自助、互助、共助を国民に求め、公助を最小限に限定しようとしています。さらに、個人単位の医療・介護、年金など、社会保障のお金の「出と入り」を明確にさせる「共通番号制」の導入まで打ち出し、社会保障制度の否定につながる「負担に見合う給付」をねらっています。

 暮らしと社会保障を改善させるたたかいは、社会保障費の連続削減を2010年、2011年とストップさせ、国保の「広域化」の法案も今国会上程を見送らせました。

 さらに、社会保障の大改悪と消費税の増税をすすめようとしている「改革案」を許さない運動を、国と各自治体にむけ大きく広げ、原発に頼らない自然エネルギーへの転換を含め、安心・安全な社会基盤を確立するとりくみに発展させたいと思います。