愛知民報

【11.07.03】震災影響 派遣労働者に 全日本金属情報機器労働組合愛知地方本部委員長 平田英友さんに聞く

 東日本大震災の影響は、期間従業員や派遣社員といった非正規労働者にしわ寄せが来ています。全日本金属情報機器労働組合(JMIU)愛知地方本部の平田英友執行委員長に聞きました。

「仕事がない」

 3月11日に発生した震災後、愛知でも労働者が置かれている状況は非常に厳しいといわざるを得ません。特に自動車関連の製造業では、いっせい休業に追い込まれているところもあります。3次下請けより先の中小企業では、従業員に休業手当が支払えないほど厳しいのが実態です。

 震災後の労働相談は53件。相談者には組合に入ってもらい、会社への要求書提出、団体交渉をおこなっています。

 「仕事がない」「いつまで休むのか知らされていない」というのが主な相談内容です。「3月は5日、4月は12日休業。5月は全休。休業手当と有給休暇を請求したら、『5月末で辞めてくれたらどちらか払う』と返事された」「3月25日に3カ月の雇用契約を結んだが4月4日に解雇され、会社から『雇用保険を使って』といわれた」などの切実な声が寄せられています。

非正規が先

 派遣会社も窮地です。一時期、時間当たり1700円あった派遣単価が1300円まで落ち込んでいます。

 社会保険や雇用保険に未加入の会社も少なくありません。「解雇予告手当の支払い義務が生じるので、自主的に退職してほしい」と思っている経営者もいます。

 経営が少し苦しくなれば、パート・派遣から解雇・雇い止めすることは常識になっています。正社員は整理解雇の4要件(人員整理の必要性、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定の合理性、手続の妥当性)があり切りにくいからです。

 雇用調整助成金の活用が呼びかけられていますが、会社は休業手当を“先払い”しなければなりません。支払い後に8割が補てんされる制度です。資金繰りに悩んでいる会社は決断できずにいます。

長丁場に

 たたかいは長丁場になると思います。震災という非常時であっても、経営者は労働基準法の最低基準を守るべきです。

 あわせて復興を支える人材の確保も考えなければなりません。

 安ければいいという競争第一主義も見直す時期ではないでしょうか。政府には不安定雇用労働者を増やすだけの施策ではいけないと言いたい。組合としても、被災地の声を聞いて運動を前に進めていきます。