列車が取り残され
東日本大震災は鉄道、道路、港湾などに大きな爪あとを残しました。記者は岩手県陸前高田市を訪問した7日、同市を通るJR大船渡線、同県大船渡市と釜石市を結ぶ三陸鉄道南リアス線沿線と釜石港を訪れました。
カーナビの行き先をJR大船渡駅にセット。国道45号線を北上しました。大船渡市街地に入ると、津波でめちゃくちゃになった商店街が目に飛び込んできました。
JR大船渡駅は津波の直撃を受け、駅舎が流失しガレキに埋もれていました。線路も津波に洗われているため、盛り土や砂利が失われレールだけ浮き上がっています。踏切にもうずたかくガレキが積み上がっていました。
すぐ北隣の盛(さかり)駅は大船渡線と三陸鉄道の乗換駅。高台のため被害なく、窓口も営業中でした。ホームには列車が取り残されていました。
えぐられた堤防
大船渡市北部の三陸地区では、三陸鉄道の高架が崩壊し線路が宙に浮くなど被害は目を覆うばかりでした。同線の三陸駅は高台にあるため無傷でしたが、ホームから見る風景は地獄絵そのもの。近くの漁港では海岸堤防が大きく損壊し、コンクリートの塊を撤去するため重機が稼動していました。
釜石市南部の唐丹(とうに)駅近くでは、10メートルを超える海岸堤防が津波で破壊されていました。こんなに簡単に堤防が壊れるものなのか。想像できません。
大型船が乗り上げ
釜石市街地もガレキの山。商店街もめちゃくちゃ。港の状況を見ようと、海岸沿いに走りました。ところどころに漁船が打ち上げられています。
正面に大きな鉄のかたまりが見えました。岸壁に乗り上げた貨物船でした。海岸堤防に引っかかった状態で止まっていました。車は船底の下を誘導員の旗に従って片側交互にくぐり抜けます。すさまじい。
釜石港の湾口には水深63メートル、全長1660メートルの津波防波堤があります。世界最大といわれる防波堤ですが、巨大津波は突破しました。津波防波堤が見えるところまで行ってみたいと思いましたが、道路は行き止まり。引き返すほかありませんでした。
寸断された鉄道や港を復旧するには、ばく大なお金がかかることでしょう。時間がかかっても復旧・復興を果たしてほしいと切に願う取材でした。
(村瀬和弘)