保険医協会が中電、県に要請 医師922名が賛同
愛知県保険医協会(荻野高敏理事長)は5月31日、中部電力・浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の廃炉とエネルギー政策の転換を求める要請書を水野明久中部電力社長と大村秀章愛知県知事に提出しました。
愛知保険医協会は、かねてから東海地震の予想震源域の真上にある浜岡原発の危険性を指摘し、中部電力に運転停止を求めています。
同協会は、東日本大震災の被災地に医師を派遣するなど医療支援に取り組みつつ、「浜岡原発の廃炉とエネルギー政策の転換を求める」署名を呼びかけてきました。5月30日までに922人の医師・歯科医師から賛同が寄せられました。
名古屋市東区の中部電力本店には、同協会の板津慶幸、中川武夫の両副理事長、土井敏彦公害環境対策部長らが訪れ、922人の医師・歯科医師連名の要請書を手渡しました。
応対したエネルギー・環境関係の広報担当者は、「要請の内容は理解できます。国民の命をあずかる医師・歯科医師の署名を重く受け止め、社長に報告します」と答えました。
愛知県庁では、知事政策局と防災局の担当者に、「原子力は想定外に対応できない未完成の技術。日本で扱うべきでない」など賛同した医師の声を紹介。「国のエネルギー対策費の大半が原発関連。省エネと再生可能エネルギーを増やし、原発の縮小・廃止へ政策転換すべきだ」と求めました。県側は「県民の安全を考え、全力で対応したい」と応じました。
同協会では今後も署名活動を広げ、首相、経済産業省、静岡県知事、名古屋市長、地元国会議員にも提出を予定しています。
俳優ら著名26人アピール 再生可能なエネルギーに
愛知県で平和運動に取り組む俳優や作家、弁護士らは5月31日、「原発に依存しない新しい日本の創造に向けて」と題したアピールを発表しました。俳優の天野鎮雄さん、山田昌さん、戦争資料館ピースあいち館長の野間美喜子弁護士ら著名な26人が参加しています。
アピールは、東日本大震災で起きた福島原発の事故を重視し、「原発は本質的に人間と共存できない」と指摘。停止中の原発は再稼動させない、稼働中の原発は危険なものから順次停止など6項目を求めています。
セイブ・イラクチルドレン名古屋代表の小野万里子弁護士は、「イラク戦争の劣化ウラン弾による内部被ばくの子どもたちを救う活動を行ってきました。劣化ウラン弾は本来最終処分できない原子力プラントのゴミが材料。福島の事故はイラクに重なります。何年か先に日本で健康被害が起きないか心配です」と話しています。