「市町村の裁量に」
今国会に提出された介護保険法改定案の審議が11日、衆議院厚生労働委員会で始まりました。
同法案は、新たな仕組みとして「介護予防・日常生活支援総合事業」を盛り込んでおり、「要支援」と認定された軽度の利用者が保険給付から排除される可能性があります。
現在の制度では「要支援」と認定された人は保険給付として訪問介護や通所サービスなどのサービスを受けられます。しかし、新たな仕組みでは、「総合事業」を実施する市町村の判断で要支援者を保険給付の対象から外し、「総合事業」の対象に移すことができます。
「総合事業」には通所サービス、配食、見守りなどが含まれます。財源は介護保険財政から出ますが上限があります。サービス内容などに保険給付のような国の基準がなく、市町村の裁量でサービス切り下げが可能。事業者はNPO、株式会社などで、市町村が決めます。
「総合事業」が実施されると、介護が必要と認定された人の介護サービスを受ける権利を奪うことになります。
介護の充実を求める愛知の会が14日、名古屋市内で開いた「社会保障・社会福祉講座」で、参加した介護関係者から「調理に来てくれているホームヘルパーが来なくなり、配食になるのでは」「民間会社に任せると儲けるため、資格のないスタッフが対応するかもしれない」などの不安の声があがりました。
営利追求がねらい 日本福祉大学講師 赤星俊一さん
生活支援、配食サービスといった“成長産業”をつくり、事業者の営利を追求することが介護保険制度の当初からのねらいです。
“要支援切り”の根っこには「税金でお茶を沸かすなんて」という“生活支援切り”の発想があります。
保険給付を解こうとする最大の動機は、事業者が保険外も含めた新たな顧客を開拓するチャンスを作ることにほかなりません。