愛知民報

【11.01.30】広がるTPP参加反対 食料主権保障の貿易ルールを

 民主党政権が参加をめざしている、貿易完全自由化をめざすTPP(環太平洋連携協定)が大きな政治問題になっています。

 日本共産党は「日本農業と地域経済、国民生活の土台を破壊するTPP参加に断固反対し、食料主権を保障する貿易ルールをめざす国民的共同をよびかけ、その先頭に立って奮闘する」(志位和夫委員長)と表明しています。

 民主党の菅直人首相は24日、通常国会の施政方針演説で「今年6月をめどに交渉参加の結論を出す」と言明。農業関係者らから怒りの声があがっています。

産出額半減試算

 愛知県の農業産出額は3210億円(2008年)。全国6位で、有数の農業県です。野菜は4位、鶏卵は3位、乳用牛は6位、花は1位です。

 TPPに参加し関税ゼロになると、1971年のグレープフルーツ自由化で蒲郡市などのミカン農家が大打撃を受けた以上の破壊的影響が予想されます。

 JA全中(全国農業協同組合中央会)の試算によると、米や乳製品を中心に産出額は半分以下に減少。食料自給率は現在の40%から13%に落ち込むとしています。

皆保険崩壊懸念

 TPPは農産物の関税を全面的に撤廃するだけではありません。

 食の安全基準や原産地表示、農林水産物の規格、医療や雇用など様々なものが非関税障壁として撤廃・緩和されます。

 日本医師会は昨年12月、「日本政府のTPP参加検討に対する問題提起」と題する見解を発表しました。TPPに参加すれば保険の利かない医療が拡大すると指摘。日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ国民皆保険制度が崩壊すると警告しています。

26議会が意見書

 県内の自治体でTPP参加反対の声が広がっています。

 「参加に反対」「慎重な対応を求める」等の意見書が愛知県議会と26市町村議会(別表)で可決されました。

 一方、経済自由化を求めるトヨタ自動車関連企業が多い三河地方の自治体では意見書は可決されていません。

 豊田市では豊田農民連などが「TPP反対」の請願を提出しましたが、日本共産党を除く自民党、市民フォーラム(民主党系)、公明党の各会派の反対で否決されました。

共産党は反対

 名古屋市議会では11月定例会で、日本共産党の江上ひろゆき議員が「TPP参加反対の意見書」の提案を意思表明。これに自民党と公明党が反対、民主党も「検討」と事実上拒否し、意見書は提出に至りませんでした。

 あいち知多農政連盟は19日、TPP反対集会とパネルディスカッションを開催。各党の国会議員が参加し発言しました。「参加反対」をキッパリと表明したのは日本共産党の井上さとし参院議員。他党議員は「慎重な態度をとる」「時間をかけて論議する」と曖昧な発言に終始しました。

反対・慎重意見書を可決した市町村議会(1月25日現在)

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