全員が「推進」の立場
設楽ダムについて代替案をふくめて再検証する第1回の「設楽ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」が11月26日、開かれました。
設楽ダムは東三河地方の設楽町地内を流れる豊川に建設する大型ダム。水没戸数は約120戸。本体建設費は2070億円。事業主体は国土交通省。
利水、治水、河川環境改善が目的ですが、「無用、代替策可能、逆効果」と批判が強く、建設中止運動が続いています。
「検討の場」は、国土交通省が設けた「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が9月27日に発表したダム事業見直しの「中間とりまとめ」の内容にそって検証するもの。
設楽ダムの検討作業にあたるのは建設を推進してきた国交省中部地方整備局。「検討の場」のメンバーは、愛知県副知事、建設予定地の設楽町長、豊橋市などダム下流域の4市長ら。
第1回会議では中部地方整備局が「検討は予断をもたず慎重に行う」とし、利水、治水の複数代替案を提示するとの方針を説明しました。これにたいし自治体側は建設促進を主張しました。
県副知事は「ダム建設が一番合理的という立場は揺らがない」として、検討結果を遅くとも2012年度予算に反映させるよう作業促進を要望。
関係自治体は、「後戻りできない。前に進むしかない」(設楽町)、「設楽ダムを検討するなかで東三河は一体になってきた」(豊橋市)、「ダム推進でやっていただきたい」(豊川市)、「ダム建設推進で上・下流域は一致している」(新城市)、「やってくれということ」(蒲郡市)と発言。
副知事は「一刻も早く代替案を整理し、次回以降、なるべく早く出し議論していけるように」と重ねて促進を求めました。
整備局側は「県、関係市町の多大な協力で設楽ダム建設事業がここまで来たことに感謝の気持ちがいっぱい」と応じ、「検討結果を出す時期ははっきり示せないが速やかに進める」と述べました。
ダム事業の再検証は民主党の公約を具体化する形ですが、検証作業に当たるのはオール推進側。「お手盛り検証」の批判はまぬがれません。このままでは、ダム建設にお墨付きを与える方向になりそうです。
市民参加の第3者検討機関の設置を求める声が出ています。