名古屋の河村市政が今年度に市内8区8地域でモデル実施した「地域委員会」について、市から検証を委嘱された「地域委員会研究会」(座長・中田實名古屋大学名誉教授)は11月30日、検証結果にもとづく4項目の提言を盛り込んだ提言書を河村たかし市長に提出しました。
同研究会は、市内にキャンパスを持つ5つの大学の名誉教授、教授、准教授計6人で構成。地域委員会委員や学区連絡協議会、モデル地域住民や市民へのアンケート調査、11回におよぶ会議を経て、「提言書」をまとめました。
提言書は、地域委員会のモデル事業を「『住民自治・地域内分権』の理念の先導的試行」と評価しています。
同時に、市長発言から想起されたイメージと実際の制度のギャップから起きた混乱や性急な実施などから、「検討を要する課題」も残したと指摘しています。
そのうえで、「今後、本格的な実施に移行する場合には、いくつかの制度の見直しと洗練化を進めて、名古屋市の住民自治の発展にとって有効な仕組みとなることを期待したい」と注文を付けています。
提言は、?地域委員会の条例による制度化と学区連絡協議会など地域の住民組織との相互連携・共同関係の明示?委員選挙の投票資格者の事前登録制の廃止、最低投票率制度の導入?地域予算の低額化、説明責任や実施事業の評価の仕組みの導入?地域委員会の主体的運営と市・区役所の支援、学区連絡協議会などとの連携の必要性をあげています。
河村市長は、本来住民自治の仕組みであるべき地域委員会を、公的福祉の解体・民間化や議会の解消につなげる手段に位置づけています。
こうした河村市長の「構造改革」論の押しつけが続く限り、提言が指摘する「市長の発言から想起されたイメージと実際の制度との間のギャップへの混乱」(「提言書」)は解決されないでしょう。