過重負担 後たたぬ悲劇
2000年4月に介護保険制度が導入されて、今年で10年。政府は当初、「与えられる福祉」から「選べる福祉」になると盛んに宣伝しました。ところが、お年寄りが介護を必要としているのに、「選べる」どころか必要な介護サービスすら受けられず“介護悲劇”が頻発化しています。
自己負担重く
愛知県社会保障推進協議会が9月26日、名古屋市内で開いた「介護学習会」の席上、介護保険の認定委員の経験がある医師の徳田秋・同協議会議長は「要介護4であっても要介護2程度の介護サービスしか利用されない」と訴えました。
サービス利用を抑える背景には利用料の1割自己負担があります。要介護4の場合、在宅サービスの給付限度額は1カ月あたり30万6000円。自己負担金は3万6000円です。この負担に耐えかね、利用を抑制する人が続出しています。
特養不足
特別養護老人ホームの待機者は全国で42万人を超えています。県社会保障推進協議会の資料によると、名古屋市の特養ホームの待機者数は2009年9月1日現在5557人。特養不足が家族の負担を重くしています。
日本共産党名古屋市議団が実施している「市民アンケート」でも「各区に特養ホームを増やしてほしい。有料老人ホームは高くて入れない」(80代女性)と悲痛な声が寄せられています。
悲劇次々
介護悲劇が後を絶ちません。県内で昨年秋、脳梗塞で半身不随となった高齢の妻を自宅で介護してきた夫が生活苦から心中をはかったものの死にきれず妻を殺してしまった事件がおきました。
介護施設に入所していましたが、経済的な負担が重く、在宅介護に切り替えました。それでも家計は苦しく、「もう早く逝きたい」と妻にせがまれ、顔をタオルで押さえたといわれます。
国庫負担増を
介護の充実を求める会愛知連絡会が3日、開いた総会で日本共産党の小池晃政策委員長が講演しました。
「介護サービスの利用が増えたり、介護事業者の労働条件をよくしたりしようとすると、公費負担が少ないために直ちに保険料、利用料にはね返り、値上がりする」と述べ、2012年の介護保険法改正に向て「現在22・8%まで落ち込んでいる介護保険の国庫負担比率を10%引き上げ、さらに50%をめざす」と、国に対し現場の実態を突きつける運動を呼びかけました。