「庶民革命」をさけぶ河村たかし名古屋市長のもとで、庶民の命綱である国民健康保険の保険料が大幅に値上がりし、市民から悲鳴が上がっています。「名古屋の国保と高齢者医療をよくする市民の会」は9月15日、「国保料1人平均1万円以上の引き下げ」など改善を求める署名運動をスタートさせました。11月の市議会に向け、10万人分の署名が目標。国保問題の学習相談会や保険料の集団減免申請に取り組みつつ、署名収集活動を展開します。
上がる保険料
名古屋市の国民健康保険料は年々上がり続け、09年度の1人当たり平均保険料は9万3931円。前年度に比べ6695円の値上げです。保険料は18政令市中5位の高さです。
市の一般会計から国保会計への繰り入れは02年度の224億円から09年度97億円と4割に激減しています。
国保加入者の相互負担の傾向が強まっています。08年度の値上げ分の保険料には、未納分の保険料を上乗せしています。さらに葬祭費全額と出産育児一時金(約1000円)、健診事業の半額(約1000円)も保険料に上乗せされています。
減税の影響も
さらに10年度の大幅値上がりの大きな要因に不況と市民税10%減税による税収減少の影響があります。穴埋めのために保険料の所得割の料率が大幅に上がりました。減税額の3倍も4倍にもなる保険料値上げに市民から悲鳴があがっています。
保険証とり上げ
長期滞納者から保険証を取り上げ、代わりに医療機関の窓口10割負担となる資格証明書の発行数は今年6月1日現在3490件。前年同時期に比べ1453件も増えています。名古屋市を除く愛知県の合計は04年をピークに減少しており、名古屋市の大量発行が突出しています。
資格証明書発行世帯の半数は所得200万円以下です。高校生までの子どもへの資格証明書の発行を中止させたことは国民の運動の成果です。
県補助金激減
国は、子ども・障害者らの医療費無料化をおこなっている市町村に対し国保会計への補助金を削減するペナルティーを課しています。神田県政は、国の削減を補てんする補助金を市町村に出しています。2000年度では13億4750万円でしたが、年々減り続け、09年度では2億5850万円にまで落ち込んでいます。県の補助金増額を求める声が高まっています。
広域化の動き
「保険財政の安定化」「保険料負担の公平化」を名目に国保の運営を現行の市町村単位から都道府県単位に広域化する動きもあります。市町村の一般会計から国保会計への繰り入れの廃止や市町村独自の減免制度がなくなることが懸念されます。