愛知民報

【10.08.22】河村たかし名古屋市長 逆流だった「庶民革命」 市政を前にすすめる市民の運動

 政権交代の流れに乗り、昨年の名古屋市長選挙で河村たかし氏が当選してから1年余。看板の市民税10%減税は「金持ちはゼロ」の公約を裏切る大企業・金持ち優遇減税、地域委員会設置のねらいは福祉の民営化、「議会改革」の行き着く先は議会の弱体化と市長の強権化。名古屋市民はそんな逆流を許さず、福祉と民主主義を守り、市政を前にすすめる運動を広げています。

「減税」名目の福祉削減許さない

 
 昨年秋、河村市長は、減税実施のため福祉費の15%、43億円を含め238億円もの予算削減方針を打ち出しました。減税による「福祉構造改革」です。障がい者、高齢者、子育て世代らが「やめて!」と猛運動。市側はしぶしぶ福祉費の削減率を3%に圧縮しました。

自動車図書館を守り 保育料値上げ止める

 
 それでも河村市長はこりずに、今年度予算に自動車図書館(移動図書館)の廃止や保育料値上げなど市民負担増を盛り込みました。市民と市職員組合が共同で反対運動を展開。自動車図書館や環境科学研究所を存続させ、保育料値上げは中止させました。

著名人が反対アピール 議会定数半減否決

 
 河村市長が、乱暴な「構造改革」に抵抗する議会の議員をばっさり切ろうと市議会に持ち出したのが議員定数半減条例案。憲法学者ら著名人が反対の共同声明を発表。声明に賛同が広がり、市議会も半減条例案を否決。議会の自主改革で、議員費用弁償の廃止、政務調査費領収書の全面公開が実現しました。

評説 河村たかし氏 改憲と「構造改革」

 河村たかし氏は元民主党衆議院議員。春日一幸・民社党委員長秘書を経て1993年衆院選で日本新党候補として当選。その後、新進党、自由党、民主党と歩き、「政界渡り鳥」の異名があります。9条改憲と独特の新自由主義的「構造改革」を主張しています。
 交戦権否認の9条第2項の削除、自衛隊の憲法明記、靖国神社参拝、「従軍慰安婦」・南京大虐殺の否定を公言。

 「構造改革」論は、減税と「議員ボランティア」化を引き金にした「小さい政府」と「真の自治・自立の社会」の実現を提唱。

 自治体の減税競争による歳入減に合わせた行政スリム化・公共サービス民営化を強行。国の役割を国防・外交など対外的な仕事に特化。現行の地方自治制度を解体し、道州制のもと、小・中学校区単位の「ボランティア議会」と住民自治組織に地域の行政運営を担わせ、「助け合いの民営化」体制をつくる、「議員ボランティア」化と称し国会・地方議会の議員定数を徹底的に削減し、議員報酬は寄付金でまかなう、市町村議会は解消するとしています。

 「名古屋から総理を狙う男」を自己宣伝してきましたが果たせず、「国会でできなかったことをまず名古屋で実現。そして日本全国に発信する」と名古屋市長選挙に出馬。

 2009年名古屋市長選では、小沢一郎・民主党幹事長の後援により同党名古屋市議団の抵抗を抑えて民主党推薦の市長候補となり、政権交代の流れの中で当選。2010年4月、河村新党「減税日本」を設立。民主党との亀裂が深まっています。