中部国際空港(常滑市)の「臨空都市構想」が行き詰まっています。中核施設に位置づけられている大型店イオンモールの進出はめどが立たず、りんくう常滑駅は駅員が常駐しない無人駅状態が続いています。
現実需要を無視
臨空都市構想の青写真では、開港5年目の現時点では大規模な娯楽型商業施設が進出し大勢の来場者で賑わっているはずでした。
現状は、駅前ホテル、結婚式場、食堂程度の進出にとどまり、広大な空き地に夏草が茂っている状態。
なぜ青写真と現実がこんなに違ってしまったのか。「開発すれば需要はついてくる」と、現実の需要を無視した開発の結果です。
財界が音頭をとり、愛知県議会では自民・民主・公明の“オール与党”が無謀な空港関連開発を推進しました。破たんを予測し、事業に反対したのは日本共産党だけでした。
県企業庁は空港開港時の常滑市の人口を6万5000人と予測しましたが、現在約5万5000人にとどまり、空港来場者は減少傾向。「臨空都市」の前提がくずれています。
無謀開発を監視
臨空都市用地の埋立造成事業について、県民グループが2000年11月、県企業庁を相手取り、名古屋地裁に公金支出差止訴訟を起こしました。
裁判では、中部国際空港計画や臨空都市構想の前提になる需要予測が過大で現実離れしている問題を追及しました。03年3月、最高裁は訴えを退けましたが、現実が原告に軍配を上げつつあります。
「中部国際空港・関連開発問題を考えるネットワーク」は1日、総会を開き、中部空港の2本目滑走路建設を「浪費」と批判しました。
空港開発の暴走を監視する県民の運動は健在です。