愛知民報

【10.08.01】道州制導入へ 小自治体つぶし 定住自立圏構想に警戒

 民主党政権のもと県内で、小規模の自治体をつぶす「定住自立圏」づくりがくわだてられています。「定住自立圏」は自民・公明政権時代につくられた市町村再編構想。自治体を「中心市」と「周辺市町村」に分け、相互連携を図るもの。行く行くは「中心市」への吸収合併です。小泉内閣以来の「平成大合併」が地方財政改善に役立たず、地方・地域の衰退をもたらすなどの弊害が噴き出すなかで、財界が求める道州制を導入するための新たな市町村再編です。

個別協定で

 「中心市」の要件は、人口5万人以上、昼夜間人口割合が1以上、3大都市圏内では特別区または政令指定都市への通勤通学割合が市全体の通勤通学者の1割未満の3つ。

 「中心市宣言」を行った市と周辺市町村がそれぞれの議会の議決を経て、定住自立圏形成協定を結ぶことになります。県内では刈谷、豊田、安城、西尾、田原各市が「中心市」に該当します。

 県内ですでに「中心市宣言」を行った市は刈谷市と西尾市。刈谷市は今年4月1日に宣言を行い、知立市、高浜市、東浦町の2市1町を「周辺市町村」として協議をすすめるとしています。

 中核医療機関の刈谷豊田総合病院を中心とした地域医療ネットワーク、コミュニティバスの接続・乗り入れによる広域交通、職員の合同研修などの行政連携が想定されています。

 日本共産党の井端清則高浜市議は今年の6月定例市議会で、定住自立圏の問題点をきびしく批判しました。

 刈谷豊田総合病院はトヨタグループ各社と刈谷市、高浜市によって運営されており、すでに両市の連携ができています。コミュニティバスも、すでに周辺市町間で連絡・調整されています。

 同市議は「定住自立圏構想による新たな協定書を結ぶ必要はない」と強調。協定にもとづいて「定住自立圏共生ビジョン」がつくられますが、ビジョンを決めるのは中心市。周辺自治体には「共生ビジョン」の予算の議決権がありません。「各自治体間の対等平等の関係が損なわれ、将来的には中心市に周辺市が依存せざるをえなくなる」と指摘しました。

 そのうえで、市に対し定住自立圏形成協定の協議に加わらないよう求めています。