愛知民報

【10.07.25】自治体が埋立て規制 土壌汚染など環境悪化防ぐ

 農地造成を名目にした産業廃棄物の埋立てが問題になっている美浜町で、それによる土壌汚染や災害発生を防止する条例が7月1日から施行されました。産廃の不法投棄防止の効果が期待されます。同町の日本共産党議員団は「町を不法なゴミ捨て場にするな」と制定に努力しました。

 

 美浜町の条例は、1000平方メートル以上の土地を埋め立てる場合の住民説明会開催や、有害物質による汚染状況の調査・報告を事業者に義務付けています。

 町は、改善勧告に従わない者に対し原状回復を命令し代執行もできます。命令や勧告に従わない者に懲役や罰金を科す罰則規定が設けられています。

 産廃投棄の名目は「農地造成工事」。農地を3年間一時転用する形で借上げ、廃棄物を埋めた上に土をかぶせるという手口。実態は、無許可の産廃埋め立て処分です。

 現場の上には土がかぶせてありますが、少し掘ると、レンガなどが出てきます。土を盛り上げた側面からは、赤茶色の汚水が染み出していました。廃家電や廃タイヤ、建築廃材などが野積みしてあるところも。

 産廃を埋めるために重機で掘った大きな穴は、雨水が流れ込んで池のよう。転落すると危険な状態でした。

 日本共産党美浜町議団は、町に廃棄物の不法投棄防止を求めてきました。02年4月、県、知多地域5市5町、警察署、保健所、産廃処理業団体、建設業団体を入れた「知多地域産業廃棄物不法処理防止連絡協議会」が設置されました。

 同党の山本辰見町議は「不法投棄の原因として、ダンプカー1台あたり15万円から20万円かかる産廃処理費用を排出者が負担しないことがあげられます。行政機関の連携で人員を特別に配置し、不法投棄がまん延しないようにすべきです。引き続き住民とともに監視を強めます」と話しています。

 土壌汚染や災害発生を未然に防ぐため、一定規模以上の土砂採取や埋め立て工事を規制する条例を設ける自治体が増えています。

 東郷町は06年4月に土壌汚染や土砂の流出防止を目的とする「土質等規制条例」を施行。1000平方メートル以上の埋立てを行う場合、埋立て土砂の発生場所を特定することや有害物質に汚染されていないことの遵守、定期的な土壌調査の報告を義務づけています。

 豊明市では今年1月、日進市では今年7月から規制条例が施行されました。許可面積はいずれも500平方メートル以上。

 今年10月1日に条例を施行する春日井市は、1000平方メートル以上の埋立てが対象です。