「『能力がない。新人だってやれる。やめたらどうか』と迫られ、うつ病に」(50代、技術系男性)
「『国家資格を取っても、そんなもの役にたたん』といすを蹴飛ばされ、資料を投げ飛ばされた」(30代女性)
「頻繁にパワーハラスメントを受け、投身自殺を考えたができず、精神的ショックの中で階段を踏み外して背骨を骨折。解雇され失職」(30代男性)
愛知県労働組合総連合(愛労連)労働相談センターに2009年に寄せられた相談が過去最高になりました。
不況しわ寄せ
2009年に同センターに寄せられた相談件数は2124件。08年1780件と比べ344件増加しています。
相談内容は、「解雇」497件、「退職強要・勧奨」174件、「賃金・残業代不払い」319件、「労働条件切り下げ」121件と、不況の悪影響が労働者にしわ寄せされています。
労働者を職場から追い出す解雇ではなく、「いじめ・セクシャルハラスメント」を受けた労働者が精神的に追い詰められ、自ら職場を去らざるをえない状況も。このケースの09年の相談件数は125件も。
自腹押しつけ
悪質なケースが多いのは運送業。他業種では考えられないような異常な相談が寄せられています。零細企業による重層下請け、過当競争という業界の体質が背景にあります。
「交通事故の責任を乗務員に押し付け、給料から天引き」といったひどい例もあります。自動車保険には免責という一定の損害額まで保険金が出ない契約があります。事故が起きたときに免責分を労働者に負担させることが広がっています。
荷主1社に専属の運送会社が荷主企業から「出入り禁止」「取引中止」を一方的に通告され、運転手が仕事を失い解雇に追い込まれた例もあります。
労働局と懇談
同センターの伊豆原直所長は「今年に入ってから、人権侵害とも言えるいじめやパワハラの相談が目立ちます。力ずくで人減らしをしようとする傾向が見られます。愛知労働局に事例を紹介し協力を求めています」と話しています。