愛知民報

【10.06.13】国保料引き下げ急務 命が危ない 愛知で崩れる“国民皆保険”

国保改善交流集会
 愛知県社会保障推進協議会は5日、名古屋市内で国保改善運動学習・交流集会を開きました。保険料が払えず、事実上の無保険状態に置かれる人が急増している名古屋市の実態が報告され、参加者から「河村市政は市民に冷たい」と怒りの声があがりました。

 名古屋市の国民健康保険の平均保険料は、2005年度9万3514円でした。06年度から毎年値上げされ、09年度は11万3327円に。4年間で1万9813万円もの大幅値上げになりました。

 保険料の滞納世帯が増え、09年度は7万4998世帯に。国保加入36万3580世帯の20・2%にのぼっています。

 名古屋市は、保険料滞納世帯の保険証を短期保険証や資格証明証に切り替えています。
 有効期限が正規保険証より短い短期保険証の交付世帯が増え、09年度は1万8209件ありました。

 短期保険証は区役所の窓口交付が原則。役所に行くと「保険料の支払いを督促されるから」と受け取りに行かない人が多く、今年3月末で4247件が未交付となっています。手許に保険証がなく、保険診療が受けられない状態が広がっています。

 05年度に18件だった資格証明書発行は09年度3644件に急増しています。資格証明書は、病院窓口でいったん治療費の全額払いを求められます。このため、治療を避け、重症化し死亡にいたる事例が出ています。

 日本共産党の山口清明名古屋市議は「市民の運動で今年度は保険料の引き下げが実現しましたが、まだ18政令市中6番目の高さです。日本共産党は保険料の1万円引き下げを求めています」と話しています。

 愛知県民主医療機関連合が今年1月に実施した国保等死亡例調査によると、昨年1年間に無保険による死亡が5件ありました。

  トヨタの期間工を08年12月に解雇された男性(47)は預貯金がなく国保に加入していませんでした。血尿などの症状がありましたが、無保険のため受診せず、昨年3月、生活保護受給後にようやく受診。尿管癌と診断され、昨年5月に死亡しています。