愛知民報

【10.04.11】2010年度愛知県予算 借金残高 年予算の倍に 

神田「オール与党」県政 ゆきづまり

 来春に愛知県知事選を控え、神田知事3期目最後となる2010年度県予算が自民・民主・公明3党の全会一致で決まりました。林信敏・日本共産党県委員会自治体部長に予算の特徴を聞きました。

財界要求の大型開発に注力 民生事業は国任せ

 ――予算をどう見る。

 県債残高が一般会計予算の倍を超えました。異常です。自民・民主・公明の「オール与党」でやってきた神田県政の行きづまりを示す空前の借金漬け予算です。

 ――リーマンショックで県税が減り、借金増は仕方ないのでは。
 税収減は事実です。問題は、借金依存の大型開発推進・「国際競争
力」強化路線です。
 万博・空港などの大型開発で「国際競争力」を強化すれば、生活も県財政も豊かになるはずだった。結果は逆。貧困と格差、県財政の借金漬けです。

 この路線を変えていません。

 ――情勢の変化に対応していない。

 リーマンショックと自公政権の退場という大変動がありました。外需依存から内需拡大へ、大企業中心から家計中心へ路線転換が求められています。しかし神田県政には歴史的激変に対応する転換方向が見えません。

 ――県は健康・福祉が重点と言う。

 力の入れ具合は県独自の新規事業にあらわれます。健康・福祉分野の9つの新規事業、総額172億円のうち、県単独事業は3つ、県負担は2億6千万円。たった1・5%です。

 国のお金で予算額は増えたが、事業内容は国の枠内。これで自治体といえるのか。

 ――雇用対策は。

 国の補正予算で県に配分された雇用対策基金や職業訓練対策の枠内です。「正社員化を促すための一時金支給」という事業があります。いいことですが、予算を見るとわずか450万円。1人分30万円で15人分。この程度でいいのか。

 「国からお金はいっぱい来たが、現場にこなす体制がない」。財政担当者のぼやきです。お金はある。県民から要求をどんどん出す必要があります。

 ――高校無償化は。

 新政権の政策で、公立高校授業料の無償化が実現し、私立高校授業料を軽減する就学支援金制度ができます。

 県は私立授業料の支援金に県補助を上乗せします。それでも県の負担は前年度の68億円から32億円に減ります。減った分を上乗せ補助に回せば公私格差を縮小できます。

 ――大型開発は。

 設楽ダム、中部空港2本目滑走路など目白押しです。国交省直轄の設楽ダムの県予算は約38億円。国の約28億円を上回るほど付けています。推進の姿勢を国に示したいのでしょう。民主党は「コンクリートから人へ」と言うなら、建設中止を打ち出すべきです。

 ――来年の知事選、県議選は。

 自民党は分裂、民主党は「政治を変えてほしい」という県民の期待を裏切る状況です。県政に「住民福祉の機関」という自治体の魂を取り戻すため、日本共産党は責任を果たしたいと思います。