名古屋市の河村たかし市長が市議会議員の定数を半減しようとしていることについて19日、日本共産党愛知県委員会は「憲法にそむく『名古屋市議半減』に反対し、民主主義を守りましょう」というアピールを発表しました。これについて同県委員会の林信敏自治体部長に聞きました。
憲法の2元代表制を否定
◆市議半減とは。
今の75人を38人に減らすといいます。16区中9区が1人区と2人区になり、議会が代表すべき多様な民意は切り捨てられます。小選挙区制は最悪です。
人口225万の名古屋市の場合、地方自治法の法定上限数は88。38人というのは人口20万~30万の自治体の議員定数です。河村市長の提案はムチャクチャです。「議会改革」どころか議会破壊です。
◆アピールの一番のポイントは。
河村市長の「定数半減」の本質は、憲法問題だということです。彼は、自治体の議会と首長の2元代表制という憲法原則を否定する立場から「定数半減」を持ち出しています。
◆2元代表制とは。
議員と首長はどちらも住民から直接選挙され、両者がチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)の関係で、お互いの独断と暴走を防ぐという地方自治体の仕組みです。
◆河村市長はどうしようと。
2元代表制は「立法ミス」だ、議会が王様で、市長は何もできない、市長の権限強化をという主張です。これは実態を逆に描いています。河村市長は9条改憲論者ですが、地方制度でも改憲論です。
◆独裁につながる。
そうです。定数をばっさり削り、次の市議選で河村市長の応援議員で過半数をとる。そうなれば、市長は議会にチェックされず、やりたいことがやれる。
彼は「改革は、市長としてのリーダーシップというより、自分のやりたいことを死ぬまでにやりたいだけですよ」(3月7日付「朝日」)と語っています。
◆本気ですか。
だから危ない。「河村サポーターズ」の代表だった元御嵩町長の柳川喜郎さんは「定数半減のような極端なことはファッショ(独裁)につながる」と警告して代表を辞任しました。
◆なにをやりたい。
衆議院議員時代に発表した「河村ビジョン」を名古屋市政で実験することでしょう。
市のおカネを「減税」という形で大企業・金持ちに回し、福祉や市民サービスを徹底的に削る。そういう市民犠牲の「構造改革」の姿が市の新年度予算案に出てきています。
「定数半減」で削減されるのは民意と福祉です。日本共産党は民主主義と市民生活を守るためにがんばります。