ハイチPKO 「人道復興支援とは違う話に」
鳩山政権は1月25日、大地震で被害を受けたハイチに国連平和維持活動(PKO)の一環として自衛隊の派遣を決定しました。海外派兵を主任務とする陸上自衛隊中央即応連隊(宇都宮市)などの陸自部隊が拳銃、小銃、機関銃を携行して現地入りします。陸自部隊や軽装甲機動車を含む装備の輸送に海上自衛隊の艦船や航空自衛隊の航空機が動員されます。愛知県の空自小牧基地からKC767空中給油・輸送機が派遣されます。
政府はハイチでの自衛隊の任務を「がれきの除去や道路の補修など」といいます。しかし、部隊と装備はそれとは異質。8日、先遣隊として現地に乗り込んだのは海外派兵専門部隊の陸自中央即応連隊。機関銃などの武器を携行しています。
小牧基地所属の空中給油機は初の海外出動です。空中給油機は飛行中の戦闘機への給油機能のほか、イラク戦争に派遣されたC130輸送機を大きく上回る貨物や人員の輸送能力をもっています。1機280億円。小牧基地には現在4機配備され、第404飛行隊が同機を運用しています。
日本共産党の小池晃政策委員長は「人道復興支援とは違う話になっている」「なし崩し的に武装した自衛隊を送るのは反対」(1月27日)との見解を表明しています。
今後の派兵増 心配 愛知県平和委員会事務局長 矢野創さん
今回の派遣はいくつか問題があります。
PKO参加5原則との関連について全く説明がないことです。ハイチでは2004年の内戦終結後、国連のPKO要員が57人も死亡しています。今も武力紛争があります。
何よりも問題は、医療支援をおこなう自衛隊の医官や看護士からなる国際緊急援助隊をすでに派遣していながら、海外派兵を主任務とする中央即応連隊を送り込んだことです。そして、資材輸送を名目に海外派兵能力を高めた航続距離の長いKC767空中給油・輸送機を派遣することです。
空中給油機の初めての海外派遣は、これを契機にアフガニスタンなどの紛争地域を含め次つぎと遠隔地に派遣される心配があります。
【PKO参加5原則】
?紛争当事者間の停戦合意?受け入れ国を含む紛争当事者の同意?中立性の厳守?以上の原則が満たされなくなった場合の撤収?要員の生命などの防護のための必要最小限の武器使用。