愛知民報

【10.02.07】中部国際空港への定期便一元化 県営名古屋空港の軍用傾斜さらに

 
 中部経済連合会の会長が、県営名古屋空港(豊山町)の国内線定期便を中部国際空港(常滑市)に集中させる「一元化」のため、関係者の協議を促す発言をおこないました。

 発言のねらいは、万博後は利用が減り続け、リーマンショックの影響でさらに落ち込み、赤字に陥った中部国際空港の救済です。

 「トヨタ方式でやれば万事うまくいく」――。空港会社の経営も航空需要もトヨタに依存してきた民活路線の破たんです。

 県営名古屋空港には名古屋と地方都市を結ぶ小型旅客機を使った定期便が就航しています。年間利用者は40万人。中部国際空港に回せというのです。

 中部国際空港の開港にともない県営化される名古屋空港にせめても小型旅客機の国内定期便を残すことは、名古屋空港周辺関係者に対する県の約束でした。中経連会長の発言はこれを反故にせよということです。

 県営空港の定期便を中部国際空港に移せばどうなるか。県営空港では県の手厚い援助で定期便を維持してきた航空会社は県の援助を失い、中部国際空港の高い空港使用料に苦しむでしょう。

 県営名古屋空港の定期便がなくなると、県の収入が減るだけではありません。県営空港の軍用飛行場化が強まります。08年度実績で自衛隊機の着陸回数の割合は35・4%ですが、民間定期便がなくなると44・7%に増えます。県民の税金で自衛隊海外派兵の拠点飛行場を維持するという性格が強まります。

 愛知県は、定期便の中部国際空港一元化に反対し、県営空港の定期便を維持し平和利用を広げるべきです。

 中部国際空港建設を推進した中部財界、当時の自民党政府、愛知県政、自民・民主・公明各党は、旧名古屋空港では増大する航空需要に耐えられない、新空港が必要だ、「1都市2空港」時代だと大見得を切って中部国際空港建設に走りました。

 いまや中部国際空港の年間旅客数は旧名古屋空港のピーク時を下回りました。「1兆円使って何のための新空港建設だったのか」。彼らの政治責任が問われています。

                                   (林信敏)