愛知民報

【10.01.17】河村名古屋市政どこへいく? 日本共産党愛知県委員会自治体部長 林信敏さんに聞く

市民減税「生活支援目的じゃない」 市長号令 市役所総出で企業誘致

 昨年暮の名古屋市議会で、河村たかし市長が提出した「市民税10%減税」の「地域委員会」の関係条例や予算が成立しました。2010年度名古屋市予算案の編成作業が大詰めを迎えています。河村市政の動向をどう見るか、日本共産党愛知県委員会の林信敏自治体部長に聞きました。
 

構造改革

 名古屋市政をめぐり3つの特徴があらわれていると思います。

 第1の特徴は、河村市長の「構造改革」路線の本質と危険性があらわれてきたことです。

 河村市長の「市民税減税」の主な目的は庶民の生活支援ではなく、大企業・金持ち優遇の仕組みづくりでした。市職員を総動員し「減税」を売り物に大企業や金持ちを名古屋に呼び込む大作戦をやろうとしています。

 一方、市がやるべき福祉を「地域委員会」に押し付け、市立の保育園や病院、区役所を民営化しようとしています。

 「住民福祉増進の機関」であるべき市役所を「大企業・大金持ち応援の機関」に切り換えることが河村流「構造改革」です。

 河村市長は名古屋市の副市長と経営アドバイザーにトヨタ自動車の重役出身者を加えました。新しい「構造改革」をやると言っていますが、破たんした小泉「構造改革」の新装版です。「庶民革命ではなくブルジョア革命だ」という批判が出ています。

 河村市政を断行するため、「議会改革」の名で議会を弱体化し、市長の強権的政治体制をつくろうとしています。河村市長は「従軍慰安婦」の強制性や南京大虐殺を否定し、軍隊保持を主張する9条改憲論者でもあります。

市民の反撃

 第2の特徴は、河村市政に抗議し切実な要求の実現を求める市民の運動が大きく広がっていることです。

 昨年9月に河村市長が「減税」の財源のために福祉をふくむ予算削減方針を打ち出して以後、障害者の皆さんがデモ行進をするなど「福祉守れ」の市民大運動が続いています。

 環境運動の皆さんは河村「行革」による環境科学研究所廃止に反対を表明しました。

 今月8日には学者の皆さんらが河村「議会改革」に反対し民主政治を守るアピール(別項)を発表しました。

共産党の論戦

 第3の特徴は、日本共産党市議団の正論と奮闘です。

 「減税」問題で、日本共産党は「生活支援の庶民減税」を提案し、まともな減税のあり方を示しました。

 「地域委員会」問題では、住民自治の仕組みを前向きに評価しつつ、河村市長が「地域委員会」を市の福祉責任放棄の受け皿にしようとしていることを批判する見解を発表。区政協力委員から「貴重な指摘。大変参考になりました」などの共感が寄せられています。

 市議会で自主的な改革の動きがはじまり、日本共産党市議団が推進してきた委員会審議のネット中継や議員費用弁償の廃止の方向が決まりました。

 新年、市民と日本共産党の共同が名古屋市政に新しい流れをつくるでしょう。

議会定数半減 民主政治の危機 13氏がアピール

 河村市長が「議会改革」と称して名古屋市議会の議員定数を半減させようとしていることについて、学者ら13氏は8日、「民主政治を守るために、議員定数の半減に反対しましょう」との共同声明を発表しました。

 連名は、池住義憲・立教大学教授、うのていお・神学研究者、大島良満・消費税をなくす全国の会常任世話人、加藤剛・ジャーナリスト会議東海事務局長、小林武・愛知大学教授、水田洋・名古屋大学名誉教授、成瀬昇元愛知県評議長ほか。