「福祉の構造改革」をすすめる名古屋の河村市政は11日、2010年度末に西部医療センター城西病院(中村区・305床)の市立廃止と緑市民病院(緑区・300床)の管理に民間企業を入れる指定管理者制度を導入する方針を正式に発表しました。
河村たかし市長は来年2月の市議会に城西病院の市立廃止の条例案を出す予定。同病院は2011年度以降は民間に譲渡する方向。守山市民病院(守山区・165床)は老人介護や緩和ケアの医療機関として縮小を検討しています。
今回の方針に対し市民から「市立病院を守れ」「市は責任を放棄するな」の声があがっています。
城西病院の市立存続を求める運動に取り組む「城西病院をよくする地域医療を考える会」の太田義郎会長は「河村市政の市立廃止・民営化方針は市民の命と暮らしを守る自治体の使命を放棄するもの」と批判しています。
年金者組合の男性(69)は「中村区は区民の4人に1人が高齢者。市内で高齢化率は最高。年金暮らしなど所得の低い高齢者は城西病院が頼り」と訴えます。
城西病院に通院している女性(62)は「河村市長は市長選の時に『福祉の充実』を公約していたが、庶民の味方ではない」といいます。
緑市民病院近くに住む女性(35)は「近くに総合病院がないので子どもが病気の時に助かってきました。民間委託して営利を追求すると医療の内容やサービスの低下が不安」と話します。
日本共産党 江上博之名古屋市議会議員 「公的責任の放棄」
河村市政が城西病院の市立廃止の方針を示した11日の市議会財政福祉委員会で、日本共産党の江上博之議員は、市の公的責任を放棄するものと批判し、市立病院の存続を求めました。
同議員は「近くに民間病院が多くても、城西病院は差額ベッド代などが安く行きやすい。経営を悪化させた責任を市民に押しつけるもの」と批判しました。