「生活に追われて学ぶ暇がない」「授業料滞納者が急増。退学者も」――。憲法と教育を守る愛知の会が5日、名古屋市内で開いた「お金の心配なく学校に行きたい~教育の無償化を求めるシンポジウム」での発言です。
県内の高校で授業料滞納や免除措置を受ける生徒が急増しています。
愛知県高等学校教職員組合(愛高教)の調べによると、県立高校の授業料未納者は2001年度末42人でした。05年年度末から100人を超え、08年度末には129人と8年間で3倍になりました。経済的理由から授業料の減免措置を受けている生徒数は06年度末で9567人でしたが、08年度末には1万59人に。09年度はさらに増加が予想されます。
愛知県の09年度の授業料減免予算は9億円(08年実績約8億7千万円)。今年9月1日現在の減免総額は、すでに予算を大幅に超える9億6千万円に達しています。
大学生は高い学費負担や奨学金返済に悩んでいます。
全日本学生自治会総連合(全学連)がおこなった全国62学園6450人の大学生アンケート調査によると、「学費に負担を感じる」が64・7%。負担を感じ節約している内容は?家族等に苦労をかける(36%)、?服など出費を抑制(27%、)?食費を削る(25%)。
奨学金を借りている学生は36%。そのうち就職できず奨学金が返せるか心配と答えた学生が63%います。
親の家計負担も限界に達しています。
厚生労働省の08年国民生活基礎調査によると大学生の子を持つ40、50歳代の親の年間平均所得は700~750万円。日本学生支援機構の08年学生生活実態調査では学生の45・2%が年収800万円未満の家庭です。
私立大学の学費は年平均160万円(日本政策金融公庫08年調査)。子ども1人を通わせれば親の所得の2割以上が学費に当てられます。自宅外生だと生活費の仕送りが加算されます。
シンポジウムに参加した熊沢知加夫・愛高教書記次長は言います。「困窮世帯が増えて高校生の奨学金申請が急増しています。昨年度は2631人でしたが、今年は440人増えて3071人にのぼります」
私立大学4年生。「学費や奨学金の無償化は世界では当たり前です。私は親の負担を軽くするため月10万円の奨学金を受けています。利子も含め4年間で総額550万円の借金を背負って社会に出ます。奨学金は無償、せめて無利子に」と訴えます。