愛知民報

【09.12.13】設楽ダム 住民が政治を動かす “脱ダム時代”ひらく 住民と日本共産党

住民が決める

 2008年秋、設楽町の有権者の4人に1人が設楽ダム建設の是非を問う住民投票条例制定を求める直接請求に署名しました。

 住民投票条例案は町議会の反対多数で否決されましたが、直接請求運動は国の言いなりにはならず、地域の運命は住民が決めるという設楽町民の心意気を示しました。

 下流域の市民と設楽町民の共同で、国・自治体にたいする設楽ダム建設反対運動や公費支出差し止め訴訟がねばり強くおこなわれています。

議会で代弁

 愛知の政治の場で、住民と連携し、“脱ダム時代”を切り開いたのは、まちがいなく日本共産党です。同党は設楽ダム反対住民の声を議会で代弁し、建設中止を求めました。

 1985年2月の愛知県議会。豊橋市選出の日本共産党・和出徳一県議(故人)が設楽ダム建設反対の本格的な論陣を張りました。

 豊川水系の宇連ダムの枯渇による水不足が設楽ダムの必要性の根拠にされました。これに対し和出県議は宇連ダムの枯渇は「上流部巨大ダム建設一点主義の破算を露呈したもの」と喝破し、今流に言えば「脱ダム」を主張しました。

 東三河地方の新豊根ダム建設後の周辺気温低下による住民生活や生態系への影響を指摘し、巨大ダム建設は「自然への直接的な破壊行為」と糾弾しました。

洪水、渇水対策

 豪雨の時、ダムに頼らず、洪水をどう防ぐか。和出県議は、豊川本川に流入する中小支川の適切な場所に、流量に見合った中小調節池をつくることで解決できると提案しました。

 渇水時の水道水をどう確保するか。県下の豊川・矢作川・木曽川3水系をつなぐ相互連絡管の早期整備、工業排水の再利用、海水の淡水化、自然保護と水資源の涵養…。その和出質問から24年余。その提言は今日も生命力をもっています。

取水権の怪

 「人口37万人の豊橋市の豊川からの取水権は日量2万900立方¥外字(8459)であるのにたいし、豊橋市牛川地区内の三菱レーヨン1社の取水権は日量7万2千立方メートル」――。和出県議は大企業の取水権占取を問題にしました。