愛知県内で、75歳以上を対象とする後期高齢者医療保険制度で、保険料が払えないことから保険証をまったく持っていない“無保険証”状態の高齢者が出ています。保険料と医療費の自己負担の重さが最大の原因です。
愛知県の後期高齢者医療保険制度の保険料は2009年度、1人月平均7036円。年金月額1万5000円を超す高齢者は年金から保険料を天引きする特別徴収方式。それ以下の低年金者は毎月末までに市町村役場に保険料を納める普通徴収方式となっています。
普通徴収対象者で保険料の滞納が大量に発生しています。制度発足以来、県内の滞納件数は今年3月末現在、延べ14万件を超えています。昨年7月から納入が始って保険料を一度も払っていない人は1210人います。
愛知県の場合、保険料未納が半年続くと、1年間有効の正規保険証を有効期間の短い短期保険証に切り換え、さらに滞納がつづくと資格証明書に切り換える仕組み。資格証明書で受診すると、医療機関の窓口でいったん医療費の全額支払いを求められます。手許にまとまったおカネがないと受診できません。
県内では10月1日現在、資格証明書の発行はありませんが、短期保険証は628件発行されています。制度発足時に交付された正規保険証の有効期限は今年7月末で切れました。8月から保険料の滞納者の保険証を短期のものに切り換え、保険料の納入を求めますが、所在不明や保険料の納入を嫌い短期保険証の受け取りを拒否するケースが出ています。
本紙が豊田、半田、豊明の3市に問い合せたところ、計10人が保険証をまったく持たない状態となっています。
不所持の原因はやはり重すぎる保険料負担。当座、受診する必要がなければ、不安をかかえながらも“無保険状態”で我慢してしまうようです。
後期高齢者医療保険制度は2年毎に保険料が見直され、75歳以上の高齢者が増えると自動的に保険料が値上げされます。来年4月が見直しの時期。保険料滞納がさらに増えるおそれがあります。
解決策は保険料の引き下げと医療費の無料化。これを実現する道は制度を廃止し、まずは元の老人保健制度に戻し、医療費の無料化に踏み切ることです。
愛知県後期高齢者医療広域連合議会の田口一登議員(日本共産党名古屋市議)は「鳩山新政権は、公約した後期高齢者医療制度の廃止を新制度が出来るまで先延ばししようとしています。お年寄りいじめの制度は直ちに廃止するべきです」と言います。