逆向き「改革」
「減税すると全分野で否応なしで構造改革がはじまる」「福祉に無駄がないわけではない」と言う河村市長。
一方で「福祉は守る」とも言います。
どうするのか。市長が手本にするのはイギリス・サッチャー、アメリカ・レーガン両政権の新自由主義政策。「公益寄付金とか民営化という手法を使って福祉をもっと向上させる」。人権保障としての福祉制度から寄附金依存のチャリティへ、福祉の歴史的後退です。
サッチャー政権などは「小さな政府」をかかげ、社会保障・福祉の大削減、大企業・富裕層減税を強行。貧富の格差拡大をつくりだしました。この新自由主義「構造改革」路線は日本では小泉改革で頂点に達し、今回の総選挙で自公政権敗北の要因になりました。
名古屋市長選の河村候補圧勝の背景には、「構造改革」路線から抜け出し、福祉再建や庶民減税に向かってほしいという市民の願いがあったはず。
ところが、河村市長は歴史の歯車を後ろ向きに回そうとしています。
市民立ち上がる
「福祉は地域委員会でやる。市役所は名古屋城づくりをやる」。市長発言に職員は驚きました。
学区ごとにつくる住民自治の仕組み「地域委員会」に福祉を丸投げし、市役所の仕事を名古屋城天守閣の木造再建などの大型事業に重点化するのです。
河村「構造改革」のゴリ押しに、市民は黙っていません。10月25日、名古屋市内で「福祉予算削るな!」の集会がひらかれ1000人が集まりました。16日には障害者団体が「名古屋を『福祉を削って金持ち減税』の発祥の地にするのか」と抗議の大集会を開催します。
減税と福祉の両立
「中日」の世論調査によると、市民税減税について、66%が「福祉などにしわ寄せがないなら実施してほしい」と条件をつけています。市長の「マニフェスト絶対主義」というべき強引な姿勢にも批判がおきています。
日本共産党市議団の江上博之幹事長は「福祉を削らずに、市民税や医療費などの有効な負担軽減はできます」と言います。「松原市政時代の庶民増税で税負担が重くなった高齢低所得者の市民税軽減は4億円で、中学卒業までの通院医療費無料化は10億円でできます。不要不急の大型事業の見直し・中止、市議の費用弁償や慣例的な海外視察の廃止を行い、その財源を生活支援に活用すべきです」