愛知民報

【09.11.01】「貧困ビジネス」規制を 生活保護費から高額の施設利用料 「求職活動もできぬ」

 「四畳半をベニヤ板で仕切って床に布団を敷いたところで寝泊りしている」「生活保護費から利用料を差し引かれ手元にお金がほとんど残らない」

 生活保護受給者を“食い物”にする「貧困ビジネス」が社会問題になっています。

 たとえば「無料低額宿泊所」。名古屋市内で社会福祉法にもとづき知事へ届出されている施設は12カ所。「未届けのところも少なくない」といわれています。

 ホームレスに生活保護を受けさせたうえで、生活保護の住宅費上限3万5800円を徴収するというもの。「あまりにも劣悪な生活環境で、多くが就職できずに去っていく」と利用者はいいます。

 「緊急住宅(特例福祉アパート)」と呼ばれる施設のひどい実態も問題になっています。ある施設では預金通帳も印鑑も預けさせられ、家賃3万5800円、食費4万円、水光熱費1万6千円、共益費8500円、計10万300円が天引きされるといいます。ハローワーク(公共職業安定所)へ行く交通費にも事欠く状態で、求職活動もままなりません。

 名古屋市の担当者は「生活保護費はいったん全額本人に渡すように指導しています。業者が通帳を勝手に作って利用料を天引きするのは明らかに違法ですが、無届施設を規制する法整備が追いついていないのが現状」と明かします。

 生活保護の申請者・受給者の相談にのっている「名古屋生活保障支援実行委員会」のメンバーは「本来、福祉事務所のケースワーカーが施設に入って丁寧に指導すべきです。施設に入らせてくれない業者もいます。事実上行政の手が入っていないも同然です。市には悪質な無届業者を野放しにしないよう厳正に対処してもらいたい」と話しています。

日本共産党国会議員団が調査

 
 日本共産党国会議員団は10月24、25の両日名古屋入りし、佐々木憲昭、笠井亮両衆院議員と山下芳生参院議員らが、福祉事務所のケースワーカー、生活保護申請を援助しているボランティア、“派遣切り”にあった元派遣労働者らから実情を聞き取り調査しました。

 佐々木議員は懇談の席上、「これから始まる臨時国会で、鳩山内閣に対して深刻な失業の実態を突きつけ、解決を求めて論戦したい」とあいさつしました。

 懇談には、かわえ明美参院比例予定候補者、もとむら伸子参院愛知選挙区予定候補者も出席しました。