後期高齢者医療制度の保険料が払えず、正規保険証より有効期間が短い「短期保険証」(短期証)が発行されるケースが県内で10月1日現在628人にのぼっています。この保険制度を扱っている県広域連合のまとめでわかりました。
保険料を一定期間滞納すると短期証の交付対象にされます。短期証は医療機関の窓口負担は正規の保険証と同じも、3カ月か6カ月で有効期限が切れます。その都度、役所に出向き更新手続きをしなければなりません。その際、滞納分の支払いを求められます。
県内市町村で短期証の発行件数がもっとも多いのは豊田市。担当者は「広域連合の指示があり6カ月以上の滞納者に短期証を発行した。資産など保険料支払い能力などの調査や面接はおこなっていない」と、機械的に発行していることを認めています。
広域連合の担当者は「短期保険証を渡す時に保険料の納付計画などを相談するよう通達を出した。どの程度の滞納期間で発行するかは市町村の判断」といいます。
保険料を1年以上滞納し「悪質保険者」とみなされると、短期保険証も取り上げられ、いったん窓口負担10割の「資格証明書」に切り換えられます。
愛知県では資格証明書の発行件数はゼロですが、短期証の交付通知を受けた高齢者が役所に受け取りに行かず、手元に保険証がまったくない、無保険状態の高齢者が発生しています。
豊明市では10月26日現在、3人が無保険状態になっています。広域連合では、こうした無保険の状態を把握していません。
国民健康保険では、保険料を滞納し、保険証が医療機関窓口全額負担の資格証明書に切り換えられた世帯の子どもが、事実上の無保険状態におかれていることが生命にかかわる事態として大問題になりました。
いま、後期高齢者医療制度で無保険状態が生れており、新型インフルエンザが流行するなか緊急対策が求められています。
愛知県後期高齢者医療広域連合議会の田口一登議員(日本共産党名古屋市議)は「無保険状態は命に直結します。高齢者に重い負担を強いる後期高齢者医療制度は即時廃止し、元の老人保健制度に戻すべきです」と話しています。
短期保険証発行(10月1日現在)
短期保険証発行 | |||
市町村名 | 10月1日 | ||
名古屋市 | 8 | ||
岡崎市 | 45 | ||
瀬戸市 | 25 | ||
半田市 | 27 | ||
豊川市 | 46 | ||
刈谷市 | 51 | ||
豊田市 | 217 | ||
安城市 | 3 | ||
西尾市 | 3 | ||
蒲郡市 | 18 | ||
小牧市 | 41 | ||
稲沢市 | 2 | ||
新城市 | 5 | ||
東海市 | 11 | ||
高浜市 | 12 | ||
岩倉市 | 8 | ||
豊明市 | 5 | ||
日進市 | 9 | ||
愛西市 | 16 | ||
弥富市 | 6 | ||
東郷町 | 13 | ||
長久手町 | 4 | ||
七宝町 | 11 | ||
甚目寺町 | 23 | ||
大治町 | 4 | ||
美浜町 | 2 | ||
武豊町 | 6 | ||
幸田町 | 4 | ||
三好町 | 3 | ||
合計 | 628 | ||
記載のない市町村は発行なし |