愛知民報

【09.11.01】ナゴヤ河村「減税」の虚と実 「減税」名目で福祉切らないで

 庶民の生活支援と貧困・格差の是正に役立つ庶民減税なら歓迎されましょう。しかし、河村流「市民税10%減税」は「問題あり」。減税は市民税の全納税者に及びますが、その恩恵は個人でも法人でも上厚下薄。「金持ちはゼロ」の公約は吹っ飛びました。

弱者直撃

 減税すれば税収が減ります。その分、経費を減らし行政サービスの水準を落とすか、水準を維持するための財源をつくるか。

 市は9月2日、「市民税10%減税」を恒久実施するため、2010年度予算で職員人件費の削減に加え、238億円の経費削減方針を示しました。河村市長は財界人や新自由主義「構造改革」論者らで構成されている「名古屋市経営会議」で決めたと言います。

 財政当局によると、「市民税10%減税」による減収分は238億円。さらに、不況による減収が加わり、2010年度は約490億円不足する見通し。

 職員人件費の1割削減で190億円、補助金・物件費・投資的経費30%、福祉・医療の扶助費15%の一律削減で238億円をひねり出し、残りは借金でまかなう算段です。

 経費削減の検討対象事業には、子ども・障害者の医療費助成や学童保育補助など、生活直結の事業が入っています。福祉予算削減は弱者直撃です。

市民怒る

 「減税の見返りに命を差し出すのはたまらない」(障害者)、「補助金を削られたら保護者の負担が増え、減税の恩恵はない」(学童保育関係者)など、抗議があがりました。

 市民の反発を受けた市側は10月13日の市議会に、初年度の減税による減収見込みを161億円に引き下げ、経費削減目標額を238億円から148億円に下方修正しました。

 しかし、その次の年度では減税による減収額は219億円に増える見通しで、「さらなる福祉削減」の不安は消えません。

 どの事業費をどれだけ削るか、利用者負担増につながる制度改悪があるのかないのか、河村市長は「混乱する」と明らかにしません。

「構造改革」

 市長は言います。「私の考える福祉は構造改革を伴う福祉」「福祉にムダがないわけでない」「減税すると全分野で否応なしで構造改革がはじまる。ムダづかいをなくそうという強烈な動機になる」

 河村市長の「減税」には、別のねらいがあるようです。