愛知民報

【09.10.18】歴史教科書変わったら… 南京「大虐殺」消え、戦艦「大和」登場 河村たかし名古屋市長 教科書採択に介入姿勢

 名古屋市議会の9月定例会で、河村たかし市長が自民党市議の質問に答える形で、南京大虐殺を「誤解」と否定し、これを記載した歴史教科書について「一方的なことを書くのはいかん」と述べ、「教科書は教育委員会がやることだが、このへんのところも相談してみたい」と教科書採択に介入する姿勢を示しました。

  現在、名古屋市立中学校で使用されている歴史教科書は南京大虐殺をどう扱っているか。

 「日本軍は次々に戦線を拡大し、同年12月、中国の首都南京を占領しました。このとき、日本軍は混乱のなかで、多数の捕虜や住民を殺害して、国際的な非難を受けました」(教育出版『中学社会 歴史』)と殺害の事実を記述しています。

 では、南京大虐殺を否定する立場の歴史教科書はどのようなものか。

 今年4月、文部科学省の教科書検定に合格した自由社の中学用歴史教科書(『新編新しい歴史教科書』)。

 「日本軍によって、中国の軍民に多数の死傷者が出た(南京事件)。なお、この事件の犠牲者数については資料上で疑問点が出され、今日でも研究が続いている」と書き、非戦闘員にたいする虐殺・殺害などの日本軍の加害行為を明記していません。

 この教科書に、丸々一ページを割いて紹介されているのが戦艦「大和」の戦歴。「日本が生んだ歴史上世界最大の戦艦」「技術力も世界最先端」との解説付きです。戦争賛美としか言いようがありません。

 自由社の歴史教科書は、日本の侵略戦争を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)のメンバーが執筆したもの。

 今年8月、横浜市教育委員会は市民や民主団体の反対があったにもかかわらず、全国で初めて自由社版歴史教科書を一部の行政区で採択しました。

 愛知県内では「新しい歴史教科書をつくる会」が自民系議員を対象に説明会を開いています。名古屋市議会での自民党市議の質問はこうした動きに沿うものと見られます。

河村市長 市教育委員に大手予備校経営者

 河村市長は市教育委員に学習塾・予備校経営で売上げ年間15億円の株式会社明倫ゼミナールの経営者の選任を求める議案を11月市議会に提出しようとしています。

 日本共産党市議が、市議会各派に挨拶に訪れた同経営者にたいし南京大虐殺の認識を問いかけたところ「自分は理系なので…」と賛否の態度表明をさけました。公教育への営利主義の持込みを心配する声も出ています。

 【新しい歴史教科書をつくる会】日本の侵略戦争を正当化する教科書をつくるために結成。内部抗争から分裂し扶桑社から自由社に発行元を変えて発行。