愛知民報

【09.10.18】後期高齢者医療制度 廃止して老人保健制度に “姥捨て”続けるな

後期高齢者医療制度廃止を訴える人たち=名古屋市瑞穂区
 民主党が総選挙のマニフェストで「廃止」を公約した後期高齢者医療制度について、同党の長妻昭厚生労働大臣は、廃止時期を2012年度末とし、13年度から新制度に移行すると報道されています。 後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者に重い負担と差別医療を押し付けるもの。“現代姥捨て”と批判されています。

 保険料は2年ごとに後期高齢者人口や医療費に応じて上がる仕組み。実施2年目の来年は保険料改定の年です。

 値上げになれば、高齢者の負担は重くなります。

 厚労省は、70歳―74歳の医療費負担の引き上げ(1割負担を2割に)の凍結や健保の扶養家族から後期高齢者医療制度に移行した人への保険料軽減措置を「継続する方向で検討」といいますが、詳細は不明です。

 日本共産党は「新制度創設まで廃止を先延ばしにするのでなく、速やかに廃止し、もとの老人保健制度に戻すべきだ。75歳以上の医療費は無料に」と主張しています。

 後期高齢者医療制度の廃止を求める名古屋市瑞穂区実行委員会の人たちは10日、新瑞橋のスーパー前で30人が参加し署名宣伝行動をおこないました。

 「直ちに廃止法案の提出を」の訴えに、買い物客らが次々と署名していきました。
 来年から廃止されると思っていた女性(79)は「4年先に廃止なんて困る。そこまで命が持つかどうかわかりません」と署名しました。

 同実行委員会の森下東治さん(67)は「『事務量が膨大になる』などの理由で廃止を先延ばしすることは許されません。廃止に向け世論と運動を広げます」といいます。

過重負担で滞納激増

 後期高齢者医療制度の保険料負担に耐えられず、県内でも滞納が急増しています。

 年金月額1万5千円未満の人は月末までに保険料を市町村役場に納入します。昨年7月から納入が始まりましたが、今年3月までの滞納件数累計は14万件を超えています。保険料を一度も払っていない人は1210人。保険料負担の重さが最大の原因です。

 後期高齢者医療制度では1年以上の保険料滞納者は原則として保険証が取り上げられ、医療機関窓口で医療費全額負担の資格証明書に切り替えられます。

 今年9月末現在、県内で資格証明書の発行はありませんが、このまま推移すれば多数の低所得の高齢者が保険証を取り上げられるおそれがあります。後期高齢者医療制度の廃止は待ったなしです。