愛知民報

【09.10.11】トヨタテストコース 造成工事着工延期 愛知県企業庁 絶滅危惧種ミゾゴイ営巣

自然保護団体が要望 代替地の検討・確保を

 
 豊田、岡崎両市の境にあるトヨタ自動車のテストコース建設予定地で、絶滅が心配されているサギの仲間、ミゾゴイの営巣が自然保護団体の調査で確認されました。テストコース用地の造成を担当する愛知県企業庁は営巣やエサ場の調査をおこないます。このため来年度開始としていた着工時期は延びそうです。

 ミゾゴイの生息を確認したのは、「21世紀の巨大開発を考える会」と日本野鳥の会愛知県支部。7月に、ミゾゴイの巣1つと親鳥2羽、ヒナ3羽などを発見しました。

 21世紀の巨大開発を考える会(織田重己代表)、愛知県野鳥保護連絡協議会(大羽康利議長)、日本野鳥の会(柳生博会長)、日本湿地ネットワーク(辻淳夫代表)は8月4日付で、愛知県とトヨタ自動車にたいしミゾゴイなどの絶滅危惧種の保護策と代替地の検討・確保を求める要望書を提出しました。

 「豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業」は、愛知県企業庁が総面積660ヘクタール(ナゴヤドーム137個分)におよぶ用地を地権者から買収し、造成工事をおこなったうえで、トヨタ自動車に売り渡す事業です。トヨタはそこに自動車のテストコースや研究開発棟などの建物を設ける計画です。従業者6000人を予定しています。

 計画地とその周辺地域には、これまでにワシタカ類の絶滅危ぐ種のサシバ、ハチクマ、オオタカの生息が確認されています。地球上に1000羽しかいないといわれるミゾゴイの生息確認で計画地の生態系保全の必要性が高まっています。

 日本共産党は、トヨタのテストコース建設事業は愛知県の公的機関を使って土地を収奪し、絶滅危ぐ種が棲む貴重な生態系を破壊すると批判してきました。

 「21世紀の巨大開発を考える会」らはトヨタや神田知事に対し、計画地一帯のラムサール条約湿地登録を検討するよう要望しています。

 愛知県野鳥保護連絡協議会の大羽議長は「里山環境の保全を主張して生物多様性COP10を開催することになった愛知県が絶滅危ぐ種が生息する貴重な里地・里山を破壊する事業を推進することは国際的な理解を得られない」と語っています。