愛知民報

【09.10.11】「減税」のねらいは福祉の「構造改革」 河村たかし名古屋市長

福祉は「地域委員会」に 市役所はお城づくりとは

 河村市長がうち出した「市民税10%減税」の穴埋めのための予算一律大幅削減方針に市民の批判が高まっています。庶民減税は市民が望むところです。しかし、減税が福祉予算削減とセットとなると、「市長は何を考えているのか?」と疑問と怒りが出てきます。予算削減の痛みは弱者に及ぶからです。財源不足からではなく、河村市長が減税をテコに福祉の「構造改革」を考えていることが浮び上がってきました。

「福祉にムダ」

 市議会で河村市長はこう公言しました。

 「私の考える福祉は構造改革を伴う福祉」

 「福祉にムダがないわけではない」

 「減税をすると全分野で否応なしで構造改革がはじまる。ムダづかいをなくそうという強烈な動機になる」

 「減税」は、福祉の「構造改革」の「第1の引き金」だというのです。

逆行では

 河村市長の「構造改革」のねらいは、「小さい政府」と「大きな福祉」の両立だと言います。

 お手本は米英のレーガン政権やサッチャー政権の政策。「公益寄付金とか民営化という手法を使って福祉をもっと向上させる」

 現実は福祉後退です。レーガン・サッチャー両政権ではじまった新自由主義「構造改革」は、日本では小泉政治で頂点に達しました。公共サービスの民営化・営利化、社会保障の後退、雇用・労働の規制緩和、庶民増税と大企業・大資産家減税…。国民に貧困と格差を押し付け、今回の総選挙で自公政権敗北の原因になりました。

 あやまった新自由主義「構造改革」から抜け出し、生存権保障の立場から福祉・社会保障の再建へ向かうときなのに、市政を逆行させようというのです。

暴走のツケ

 市長は職員にこう言ったそうです。

 「福祉は地域委員会でやる。市は地域委員会がやれない名古屋城づくりをやる」

 150億円の名古屋城本丸御殿復元事業は続行、500億円の天守閣木造再建をめざすという河村市長。財源は市債=借金です。「市債は財産」と言い放つ河村市長。暴走のツケは市民に回ります。

安上がり

 小・中学校区ごとにつくるという「地域委員会」は福祉や介護を担い、予算が不足すれば「公益寄付金」集め…。安上がりの住民利用機関にされかねません。

 地域組織が真の住民自治の組織と活動に発展するよう考えるときです。

議論と運動を

 日本共産党は訴えています。「『政治を変えたい』という市民の強い思いに後押しされて河村市政が生まれました。日本共産党は市民の皆さんの前向きの思いを大切にするがゆえに、河村流『構造改革』が強行されるならば、福祉後退、借金増大につながる危険を率直に指摘し、市民の皆さんに議論と運動をよびかけます」

名古屋市経営会議

 名古屋市経営会議は前市長時代に「市政運営の重要方針を決定する場」として設置されました。

 河村市長は経営会議に参加する経営アドバイザーを増員。トヨタ自動車相談役、内閣官房道州制ビジョン懇談会座長、規制緩和・「構造改革」論者が参加。減税に伴う予算一律削減方針は8月の同会議で決定されました。

 河村市長が招いた新しい副市長もトヨタの重役出身者です。

市民犠牲許すな!要求交流集会発言

★市長から市民犠牲を強いるような予算削減の指示が出ていることを知って驚いた。天守閣を木造で造り直して千年誇りに思う前に、市民は疲へいしてしまう(医師)

★学童保育の助成金はここ数年増えていない。過大な保護者負担が強いられている。予算30%削減の対象に入っているが、ビタ一文削らせない(学童保育関係者)

★学童保育への助成がカットされたら保護者の負担が増え、10%減税をやっても恩恵はない(学童保育関係者)

★一般会計から国保会計への繰入金は毎年減っている。繰入金が減らされたら、保険料の値上げにつながる。国保料値上げ反対の署名運動をすすめる(社保協役員)

★福祉予算カットは福祉労働者の労働条件引き下げにつながる。河村市政の本質が見えてきた。まやかしの10%減税は許せない(福祉労働者)

★総選挙で政権が変わり、障害者自立支援法廃止の方向が見えてきたところへ、河村市長から削減の話が出てきた。これでは希望をもって生きていけない(障害者)

★市職員も大変だ。過労死が心配なほど大変な生活保護の現場、窓口への高い国保料の苦情、終電残業、給料カット、メンタルの病気…。市役所が壊されていく。市長は「一肌ぬいでくれ」というが、このままでは裸にされてしまう(市職員)