住宅密集地 地域住民一安心
航空自衛隊小牧基地が10月10日の航空祭で同基地開設50周年記念行事として計画した空自曲技飛行チーム「ブルーインパルス」の展示飛行を断念しました。地元住民、平和団体、周辺自治体が反対してきました。
航空自衛隊小牧基地に配備された空中給油機を運用する部隊発足と同時に基地司令になった谷井修平空将補は着任あいさつで「航空祭で、きれいな花を咲かせたい」とブルーインパルスの曲技展示飛行をおこなうと発言しました。
基地側は「ブルーインパルスは通常の倍以上の整備をして安全」「地域の活性化になる」などと宣伝。基地協力会を使い、5月12日に愛知県に1500人のブルーインパルスの飛行を求める署名を提出するなど異例の運動をしました。
住民への配慮から1972年以降中止されてきた展示飛行を再開させるねらいは、海外派兵の拠点となった小牧基地の姿を誇示するねらいがあると見られます。
小牧基地が自衛隊機の離着陸に使用する愛知県営名古屋空港は住宅密集地ににあり、自衛隊機が滑走路上で墜落炎上するなどの事故が頻発しています。
市民の強い不安と反対の声が渦巻くなか、春日井市の基地周辺区長や市長、議会でつくっている空港対策協議会は「容認できない」と反対を表明。5月2日、基地に対し展示飛行計画の中止を申し入れました。対策協は7月24日、防衛省に飛行計画中止を要請しました。
尾張中部地域の労働組合、平和団体、日本共産党などでつくる小牧平和県民集会実行委員会はブルーインパルス参加反対の署名行動を取り組み、神田真秋知事に対し7月7日には9077人、8月18日には2262人の署名を添えて県営名古屋空港の滑走路を使用させないよう申し入れました。
反対運動が広がるなか、谷井司令は8月31日、春日井市、小牧市、豊山町を訪れ、ブルーインパルスの展示飛行を実施しないと伝えました。
愛知県平和委員会の矢野創事務局長は「地元住民の願いにそって署名運動などを進めた結果であり、大きな成果です。昨年、名古屋高裁で自衛隊のイラク派兵が違憲だとの判決を勝ち取りました。この判決に多くの県民は勇気をもらいました。海外派兵を許さない県民運動をさらに広げます」と話しています。
日本最大の空輸基地に 航空自衛隊小牧基地
航空自衛隊小牧基地は国内輸送任務型から海外派兵型へ変ぼうしています。
イラク戦争では、アメリカの要求にこたえて同基地所属のC130輸送機がイラクに派遣され、米軍兵員の輸送に従事しました。
同基地の第1輸送航空隊は4月、C130輸送機の第401飛行隊と空中給油機の第402部隊をもつ飛行群として編成・強化されました。
飛行群発足直後の5月、C130輸送機は東アフリカのソマリア沖の「海賊対策」のためソマリアの隣国・ジブチに派遣されました。
7月には同基地のKC747空中給油機が初めて国外訓練をインドネシアとタイで実施しました。C130輸送機もカンボジアやインドなどで訓練。C130輸送機の国外訓練は7年ぶりです。今後の海外派兵を想定した運行訓練と見られます。
自治体ぐるみの運動で 日本共産党春日井市議団 内藤富江市議
小牧基地が10月10日に行う基地航空祭でブルーインパルスのアクロバット飛行を断念したことは、春日井市、市議会、地元区長、町内会で構成される春日井市飛行場周辺対策協議会、平和団体、多くの市民の様々な運動が実を結んだ結果であり、心から歓迎するものです。
今年は小牧基地開庁50周年を迎えます。基地司令は「この機会に何としても実施したい」との思いで、自治体及び地元に強力な働きかけを行うと同時に基地協力会を使って飛行を求める署名や、葉書を集めるなどこれまでにない賛成運動をしてきました。しかし執ような働きかけに屈せず「安全と安心な暮らしを守るため」にアクロバット飛行を断念させたことは市民の運動の大きな成果です。
日本共産党は反対署名に取り組み、市民のみなさんと一緒に運動してきました。今後も議会内外で平和と市民の安全を確保する運動を進めていきます。