田原市の市立伊良湖岬保育園の給食の自園調理を求める住民訴訟の判決が7月14日、名古屋高等裁判所でありました。判決は「児童福祉施設最低基準は自園調理を義務づけてきた」とする住民側の重要な主張を肯定しました。
この訴訟は、2007年4月に開園した伊良湖岬保育園の3歳以上児の給食を園外の給食センターから搬入する市の方針に対し「自園調理にしなかったのは最低基準違反」と地元住民が起こしたもの。
第一審の名古屋地裁は昨年12月、「最低基準は、自園で調理した給食の提供を義務づけてはいない」との不当判決を下し、住民が名古屋高裁に控訴していました。
今回の判決で、名古屋高裁は最低基準については「保育所に『調理室』を設け、『調理員』を置くことを規定しているのは、乳児又は幼児の身体的、精神的及び社会的な発達のため…、実情に即したきめ細かい対応を可能とすべく、当該保育所内に設けられた調理室で、当該の調理員が調理した食事の提供を予定したものと解するのが相当」「保育所外で調理した食事を保育所に搬入する方式により食事を提供することを禁止していたと解するのが相当である」と判断しました。
しかし判決は、田原市が外部搬入を認める「特区申請」を国におこない、これが認定されたことで「同保育園給食の違法状態は解消された」として控訴を棄却しました。
後追い特区許されぬ 田原・給食市民の会 大羽康利さん
今回の判決は、最低基準の厳守を求めた点で高く評価できます。
しかし、判決は特区認定による給食の外部搬入を認めました。私たちは「後追いでの特区を認めていることは許されない」と、7月28日に最高裁に上告しました。
また、名古屋地方裁判所に「特区認定の取り消し」を求めて提訴しています。