伊勢湾台風から今年で50年。同台風の高潮被害を契機に造られた名古屋港の高潮防波堤・知多堤(知多市南浜町)が、近く発生が想定される大地震の際に地盤の液状化によって最大2・74メートル沈下する恐れがあることが分かりました。
名古屋港管理組合議会で10日、日本共産党の山口清明議員が入手した国土交通省の調査結果資料にもとづき追及し明るみにでました。
名古屋港高潮防波堤は1959年の伊勢湾台風後に建設を開始し64年に完成。延べ7・6キロメートルで、知多堤はそのうち1・3キロメートル。
山口議員は03年に同議会で阪神大震災の教訓から防波堤の耐震診断を要求。国交省が05、06年に地盤調査を実施しました。
その結果、大地震で地盤が液状化する可能性があり、防波堤が倒れることはないものの最大2・74メートル沈下する可能性があると分かりました。
伊勢湾台風では最大3・55メートルの高潮が発生しました。同堤が想定の最大分沈んだ場合には高潮を防げない可能性があります。
さらに重大なことは07年3月に調査結果が出たにもかかわらず国土交通省は2年間にわたり公表しませんでした。同省から今年3月に調査結果を提供された名古屋港管理組合も山口議員が議会で追及するまで3カ月間明らかにしませんでした。
小学生の時に伊勢湾台風で家が水没する被害を受けた名古屋市南区の上村敦美さん(60)は「東海地震で大きな被害の可能性があるのに、こんな大事な情報を隠すなんて憤りを感じます」と話しています。
早急に補修を 日本共産党 山口清明名古屋港管理組合議員
住民の生命に関する重要情報を調査結果が判明してから長期にわたり公表しない姿勢は許されません。
住民の不安解消のためにも名古屋港管理組合と国土交通省は必要な補修や改修を早急におこなうべきです。多額の補修費用についても地方に押し付けるのではなく国が責任をもつべきです。