名古屋空港では伸びるであろう航空需要に耐えられないからと、4年前に開港した中部国際空港の利用実績が名古屋空港のそれを下回るとは――。「こんなことなら名古屋空港で間に合ったのではないか」。中部国際空港をめぐり、“税金ムダづかい”を絵に描いたような事態がおきています。
「中部国際空港・関連開発問題を考えるネットワーク」(中川武夫代表世話人)は14日、第5回総会を開き、「第2滑走路建設なんてとんでもない」と声を強めました。
【愛知の空港問題の現況】
林信敏氏(日本共産党・元愛知県議)は、極端なトヨタ依存構造が中部国際空港の“もろさ”の要因、イオンモールの進出延期で「中部臨空都市」計画は“空中楼閣”の危機、自衛隊海外派兵恒久化の動きのもとで県営名古屋空港の日米軍用飛行場化の3点を愛知の空港問題の今日的特徴と指摘しました。
【臨海用地造成事業会計の見通し】
中部国際空港関連開発の「中部臨空都市」事業をふくむ愛知県企業庁の臨海用地造成事業について梅原浩次郎氏(自治体問題研究者)が発言。企業庁が埋立造成した「中部臨空都市」用地への企業進出の不調が続けば、2010年度から企業債の元利償還が本格化するところから、臨海用地造成事業の健全性の確保が困難になると見通しを語りました。
【苦境の常滑】
瀬木俊一氏(空港を考える市民の会)は、常滑市の人口・世帯数は増加傾向にあるが単身者が多く、定住性が低い、市街地にシャッターと空家が目立つ、漁業者の減少傾向など、常滑のきびしい生活状況を報告。
佐々木志津江氏(日本共産党・常滑市議)は、空港関連の税収はあがったが、他方で、開発事業の借金負担や空港対岸部進出企業への補助金支出が増え、「財政はきびしい」(市長)として、保育園の統廃合など市民サービスの後退が強行されようとしていると発言しました。
【県営名古屋空港の実態】
県営名古屋空港と航空自衛隊小牧基地に隣接する春日井市の立松暁一氏(県民本位の県営名古屋空港を求める会)は、小牧基地に空中給油機が配備され、県営空港を使っての軍事飛行訓練が展開されるなど「県営自衛隊空港」化しつつあると警告。今秋の航空祭で空自が検討している「ブルーインパルス」曲技飛行に反対する市民運動がすすんでいることを報告しました。
総会は、中部国際空港の第2滑走路や西知多道路建設などムダな空港関連開発に反対する方針を決め、中川氏ら次期役員を選出しました。