愛知民報

【09.06.07】増える高校退学 経済的理由 学費軽減、無償化は切実

教室に貧困、格差

 
 「貧困と格差」が高校生活に暗い影を落としています。

 公立・私立を問わず、経済的理由による中途退学が続出しています。授業料滞納は過去最高です。

 高校生活には授業料のほか、修学旅行の積立金、PTA会費、制服や学校指定のかばん、体操服、シューズの費用も必要です。

 負担に耐えられず、生徒自ら修学旅行の参加を辞退するという事態もおきています。

 親の経済格差が教育環境の格差につながっています。公立高校の進学校の普通教室には、保護者の負担で夏期補習用のクーラーがついています。

 一方、“底辺校”といわれる学校の教室にはありません。生徒からは「うちの学校は偏差値が低いからクーラーが付かない」という声も出ており、学習意欲が低下するという悪循環に陥っています。

 大学進学の志望校を選ぶ基準が「自分の行きたい大学」ではなく、「家から通える大学」「授業料の安い国公立大学」というものになってきています。

 親の負担能力の低さが受験生の可能性の芽を摘む結果になってしまっているのが実態です。

 この状態を打開しようと、授業料など学費負担の軽減、奨学金の改善、教室のクーラー設置、高校交通費補助など、修学・進学支援の拡充を求める運動が広がっています。

 日本共産党と日本民主青年同盟は3月、愛知県教育委員会に授業料滞納を理由に成績評価を「1」に下げるという懲罰的対応をおこなっている学校があることと指摘し是正を求めました。

 県教委は学校に是正指導をおこないました。「先生から、滞納を理由に成績評価を下げることはしないから勉強をがんばるようにと話があった」と、高校生はよろこんでいました。

 国際人権規約は「中・高等教育の漸進的な無償化」をうたっています。しかし、日本政府は批准していません。批准を保留しているのは世界で、日本、ルワンダ、マダガスカルの3カ国だけです。

 日本共産党は速やかな批准と高校・大学の授業料無償化を求めています。