「行政の民主化に」 白川秀之弁護士に聞く
名古屋市のごみ焼却施設・新南陽工場(港区)の入札談合裁判に勝利した住民側が名古屋市に請求していた弁護士報酬の金額が確定しました。住民側弁護団の白川秀之弁護士に今回の判決の意義を聞きました。
新南陽工場住民訴訟は関係ゼネコンの入札談合による高値落札で、名古屋市が9億円以上の損害を受けたとして、ゼネコンに不当利得の返還を求めた裁判です。2004年9月21日、最高裁で住民側の勝訴が確定しました。ゼネコンはこの判決で約12億4700万円を名古屋市に支払いました。その分、税金の無駄遣いがくい止められました。
今回の裁判は、この事件の弁護士報酬をめぐっておこなわれました。地方自治法第242条では、住民側が勝利した場合、弁護士報酬を地方自治体に支払わせることができることになっています。これがいくらかということが争われました。
06年9月、住民は名古屋市に1億2397万円余を支払うよう訴えました。これに対し、市が示した額はわずか196万円でした。3割上げても254万8千円でした。
1審の名古屋地裁で3800万円という判決が出され、2審の名古屋高裁もそれを是認しました。裁判所は弁護士が要した労力や地方公共団体が受けた利益は重要な考慮要素だと判断しました。最高裁は今年4月24日、上告申し立てを受理しないという決定を下し、判決が確定しました。
住民訴訟は困難を極める裁判です。新南陽工場訴訟は裁判闘争9年半を費やしています。それ以前の市議会での百条委員会や住民監査請求を含めると、10年以上かかっています。
弁護士が膨大な書面を書いたり、立証したりして多額の費用がかかり、ともすれば、手弁当でやらなければならないということになりかねません。
今回の判決確定は住民訴訟の費用を補償し、住民訴訟の制度を利用しやすくしたという点で大きい成果です。住民訴訟弁護団の活動が一定評価され、地方行政の民主化という面で、前進といえる判決だと思います。