名古屋市の河村たかし市長が徳山ダムに貯めた水を名古屋市に引く導水路事業の見直しを表明しました。名古屋市は同ダムから水道用水と工業用水を取る計画です。見直しの理由にあげた「水余り」とは――。
名古屋市の水道の1日最大給水量を見ると、2000年度の111万立方メートルが07年度は1割近く減の101万立方メートルになりました。名古屋市は、徳山ダムの完成以前につくられた長良川河口ぜきにも水道用水の水利権をもっていますが、一滴も使っていません。
名古屋市の工業用水は市内の109事業所(07年度)に冷却や洗浄のために供給されています。年間給水量は02年度2532万立方メートルから07年度2382万立方メートルに減っています。水道、工業用水ともに今後の需要増は見込めません。
使わない水のために、長良川河口ぜきや徳山ダムの建設負担金を毎年払い続けているのが現状。そのうえ、導水路となれば、財政の悪化、市民の負担増はさけられません。
国などは渇水時や少雨化のため必要」といいますが、ダム問題に詳しい伊藤達也法政大学教授は「徳山ダムは過大な水需要予測によって建設されました。異常渇水が起きても、木曽川の水利調整や転用で十分に対応できます」と話しています。
【木曽川水系連絡導水路事業】徳山ダムの水を長良川と木曽川に送る導水施設建設事業。総事業費890億円。国、愛知、岐阜、三重各県、名古屋市が負担する。15年度完成予定。
撤退運動強める 日本共産党名古屋市議団
河村たかし市長が徳山ダム導水路事業から撤退を表明し、水資源機構への分担金支払いを差し止め、早々に討論会を開き市民の意見を聞いて決定するとしたことは、党や市民の運動が政治を動かした大きな成果です。
日本共産党名古屋市会議員団は同事業について、水余りの状況にあることや環境への影響から反対し、ムダな大型公共事業であるとして一貫して中止・撤退を求めてきました。
また、先の名古屋市長選挙でも、日本共産党が推薦した太田よしろう氏はマニフェストで中止を掲げ「負担金支出はやめます」と訴えてきました。
党市議団は今後も中止・撤退に向けて、市民のみなさんとともに運動を進め、その実現のために全力をあげます。