一宮市内にある愛知県立循環器呼吸器病センター(循呼センター)に一宮市民病院との統合の動きが出ています。
同センターは286床のベッドを持ち、急性心筋梗塞、急性大動脈解離といった重篤患者に、緊急のカテーテル治療や手術ができる24時間体制を備えています。
県内外から紹介患者を受け入れ、全国的にも心臓病手術件数で上位に入っています。
今年3月14日、一宮市民病院との統合が報道されました。報道によるとベッド数を循環器80床、結核20床、感染症6床に大幅縮小する計画。県は3月31日、同センターの災害拠点病院の指定を解除しました。
県立病院職員で作る愛知県病院事業庁職員組合によると、県側の態度は「結核も治療剤がよくなり、30床は必要ない」「県に2次救急の責任はない」というもの。
総務省は2007年12月、公立病院の再編を進める「公立病院改革ガイドライン」を地方自治体に提示しました。愛知県はこれを受けて「公立病院等地域医療連携のための有識者会議」を設置しました。
同会議は県内の医療圏ごとの救急医療の「今後のあり方」を提言。一宮市民病院は心筋梗塞の医療機能の充実のため、循呼センターとの「統合も視野に入れつつ連携の強化を図る」としています。“整理・統合先にありき”の議論です。
一宮市内で19日、「公立病院を守る会」がシンポジウムを開き、循呼センター職員は「センターは結核、感染症病床を持ち、独自の役割を果たしています。循環器疾患は救急だけではなく、慢性期もあります。心臓病終末期の患者さんの緩和ケアの役割も担っています」と重要性を強調しました。
「公立病院を守る会」は3月末から循呼センターの存続・充実を求める県知事あての要望署名を集め、2週間で署名は6000人分を超えました。同センター周辺の町内会や患者の間で存続を求める声が強まっています。